グルコ-ス解糖系の第1過程

グルコ-スは6個の炭素原子を有する6単糖です。解糖系は細胞質内でグルコ-スを2分子のピルビン酸にする生化学的なプロセスです。2分子のATPと2分子のNADHが得られます。
その後、好気的な生物では、ピルビン酸は細胞のミトコンドリア内に送られて、クエン酸回路に入り、様々な有機酸に変換されます。その過程でATPやNADHが発生します。生物はATPのエネルギを使って、代謝に必要な様々な物質をつくり出しています。

解糖系は10個の反応過程から成ります。解糖系の第1過程は、ATPによるグルコ-スのリン酸化です。すなわち図1に示すように、グルコ-スとATPが反応し、グルコ-ス6リン酸とADPとH+が生成します。6は6番目の炭素にリン酸が結合していることを意味しています。ATPはPO32–ADPと書けます。反応を促進させる酵素はヘキソキナーゼというリン酸転移酵素です。

ATPのリン酸には、Pと二重結合しているOがあります。この酸素は電子を引っ張るので、P=OがP-O-となります。Pは、5本の結合手を持つので、結合手をもう1本受け入れられる状態になります。

グルコ-スの6番目の炭素はCH2OHに含まれています。その酸素O:には孤立電子対があり、ATPのPと求核反応を起こします。ATPとグルコ-スがヘキソキナーゼに結合すると、グルコ-スのCH2OHはPの近くに配置されます。CH2OH はPと結合し、H+を放出します。P-O-がP=Oに戻ると、PとADPの結合が切れます。ADPは結合に使っていた電子を引き取り、ADP-となります。結局、反応は

・ グルコ-ス + PO3-ADP → グルコ-ス6リン酸 + ADP- + H+

となります。解糖系の第1過程ではATPを1個消費してしまいます。10個の反応過程で用いられる酵素はすべて異なりますが、有機化学の基本知識があると、複雑な生化学の反応を理解することができます。

ビットコインを安全に管理するにはどうしたらいいでしょうか?

ビットコインを溜めておく財布をウォレットと言います。ウォレットは大きく分けて6つあります。(1)デスクトップ上に保管するソフトウェアウォレット、(2)Web上に保管するWebウォレット、(3)スマートフォン上で保管するスマホ・ウォレット、(3)物理的な機器で保管するハードウェアウォレット、(4)物理的な鉄やメタル・プラスチックに保管する物理ウォレット、(5)紙で印刷し保管するペーパーウォレットなどがあります。

多額保管用と少額保管用で分けるといいかもしれません。手軽に送金したり、お店で使いたいという場合は、グリーンアドレスやブレッドウォレットなどのスマホ・ウォレットが使いやすいと言われています。利便性が高いのでホットウォレットと呼ばれています。
高いセキュリティーを得るには、ハードウェアウォレットが良い保管先になります。TREZOR(トレザー)もしくはLedger Nano S(レジャーナノエス)などがあるそうです。ハードウエア・ウォレットをパソコンに差し込んで、取引をします。普段はネットと切り離されているので、コ-ルド・ウォレットと呼ばれています。
取引所ではビットコインをWeb上に保管するWebウォレットを使うことになります。取引を行うための銀行口座が必要です。

なぜビットコイン相場は値動きが大きいのでしょうか?

一時150万円/BTCに迫ったビットコイン価格ですが、7月16日16時現在は115万円前後で推移しています。ビットコインの価格変動が大きい理由には、複数の要因が考えられます。

<ビットコインの価格変動が大きい理由>

(1) ビットコインの市場規模が小さい。
市場参加者が増えて取引量が増えれば、価格変動がだんだん小さくなる可能性があります。株に較べるとビットコインの市場規模はまだ小さいので、市場参加者に機関投資家のようなプロが少ないです。プロの冷静な判断がないので、価格が変動しやすいと考えられます。
2017年12月、米大手先物取引所であるCMEに、ビットコインの商品先物が上場しました。CMEは先物取引で世界最大規模を誇っており、機関投資家などの大口資金が徐々にビットコインに流入しています。

(2) 売買手数料が安く、小規模投資が可能である
株は100万円単位の資金が必要ですが、仮想通貨は100円もしくは500円から購入できます。ビットコインは売買手数料が安く、少ない資金で売買が可能なので、市場参加者に投資経験の少ない人が多いようです。取引所の不始末によるビットコインの紛失事件などが時々起こります。人々は、こうした事件情報にも敏感に反応して、売買を行うので、価格変動が大きくなります。
日本の20〜40代の若者の人口は約4500万人です。米DataLightが取引所トラフィックデータからまとめた調査(4月29日発表)によると、610万人の利用者の9割が40代以下だそうです。つまり若者の10人に1人が仮想通貨の取引経験があることになります。ビットコインは若い人たちの最初の投資経験になりがちです。購入の目的は長期保有(70%)であり、決済手段(19%)や送金手段(13%)は一部に留まっています。

(3) 株のように価格変動幅が決められていない
行き過ぎた価格変動を防ぐため、株価は一日の変動幅が15%以内に決められています。一方ビットコインは、変動幅の制限がなく、需給に応じてどこまでも変動できます。

(4)国家がビットコインを法規制する可能性がある
ビットコインは、国家の保証がない通貨です。日本ではビットコインは電子資産として認められていますが、ロシアのようにビットコインを禁止している国もあります。ある国家がビットコインの取引を禁止すると、市場参入者が減るので、ビットコインの価格は低下します。米ドル決済を嫌って、仮想通貨決済を検討している国もあります。そういう国が増えると、ビットコインの価格は上昇します。

(5)ビットコインには中央管理者がいない
ビットコインのプログラムを修正・改善しようという場合に、意見の相違や混乱が起こる可能性があります。ビットコインの将来に対して悲観的な見方が出てくると、価格が乱高下しやすくなります。

(6)政治的な混乱時の退避先資産に利用される
ビットコインは、自国通貨の下落に対する逃避先として、買われることがあります。ギリシャがEU離脱を試み始めた(Grexit)2013年にビットコインは大きく上昇し、Brexitが決まった2016年にもビットコインは2倍に上昇しました。最近の上昇は、米中貿易摩擦の結果、人民元は対ドルで下落しており、安全資産を求める中国人投資家が資産をビットコインに変えているとの見方があります。従来は退避先資産として、金が一般的でしたが、”デジタルゴールド”として、一時的にビットコインが買われることがあります。

どのようにしてビットコインの価格は決まっているのでしょうか?

ビットコインの取引所において需要と供給の市場原理によってビットコインの価格は決まっています。ビットコインが欲しい人が増えて、買い注文が増加すると、取引所は、その買いに見合うだけの売り注文を受けるために、ビットコインの価格を引き上げます。価格が高くなると、売りたい人が増えて、売買取引が成立するからです。


 2017年10月には1BTCが50万円前後でしたが、12月には200万円を超えています。わずか2か月間で4倍以上値上がりしました。株価は会社の業績によって変化しますが、ビットコインはただのデ-タであって、業績はありません。ビットコインの価格変動は、純粋に需給によって引き起こされます。

ビットコインの社会的デメリットはどのようなものでしょうか?

ビットコインのデメリットは、(1)価格変動が激しい、(2)支払いできる場所が少ない、(3)盗難に遭う、(4)決算処理が遅い、と言ったことが挙げられます。

価格変動に関しては、政府の規制が入るかもしれません。政府の規制が入ること自体が、価格の暴落を招くことも考えられるので、慎重な対応が必要です。急激な価格変動が抑えられれば、ビットコインで支払い可能なお店が増えると思われます。政府の取引所に対する認可を厳しくすることで、盗難は減ると思われます。ビットコインの決算処理には10分もかかるので、高速な株取引などには使えません。


他に懸念されていることは、ブロック計算に要する電気代が膨大なことです。それはデンマ-ク一国の電気代に相当します。金の発掘でも、重機代、電気代、人件費がかかります。しかし金の発掘とは異なり、ブロック自体やブロックの発掘には実質的価値はありません。物理的には非常に無駄なことが行われているように見えます。私的ブロックチェーンを増やすことで電気代を減らすことは可能です。

ビットコインの社会的メリットはあるのでしょうか?

ビットコインのメリットは、(1)直接送金が可能、(2)海外でも両替なしで使用できる、(3)自国通貨のリスク回避になる、と言ったことが挙げられます。つまり海外勤務や海外旅行をする場合にメリットがあります。自国通貨が不安定な国民が一時的に資産を防衛するのに使うことができます。海外で活動しない人には、あまりメリットが感じられないようです。


しかし重要なことは、ビットコインが実証したブロックチェーンの低価格かつ高信頼な電子システム技術が、従来のビジネスモデルを破壊し、AIやIOT技術と組み合わされて、様々な新規ビジネスを生成し、社会を一変する可能性があることです。
 

権力者がビットコインを排除する可能性はあるでしょうか?

日本ではビットコインが完全に排除される可能性は低いと思いますが、今後さらなる規制を受ける可能性は高いと思われます。理由はビットコインのデメリットが顕著になる可能性があるからです。例えば(1)ビットコインの乱高下や取引所の不正が若者に被害を与える(2)ビットコインが脱税に使われる(3)ビットコインが不法賭博に利用される、(4)日本の法定通貨を脅かす、ことが考えられるからです。

 ビットコインの購入者の多くは投資経験や仮想通貨の知識のない若者であり、価格変動の被害を受けやすいと思われます。ビットコインを安全な取引にするために、法規制をかける可能性があります。市場参加者がビットコインの法整備が進むことを歓迎すれば、ビットコインの価格は上がるかもしれません。そうでなければ暴落の危険性もあります。


ビットコインの収益は雑所得として申告することになっていますが、政府としては、ビットコインの収益に課税するのが難しいという問題があります。政府が取引所を通じて、脱税防止のため個人のビットコインの保有量を監視する可能性が考えられます。


インターネット上では、ビットコイン等の仮想通貨を使用するオンラインカジノが法の規制から逃れ、新しい娯楽として普及し始めているようです。日本人のビットカジノ利用者数は月間1万人を超えていると言われています。ビットコインが生活破綻や犯罪を引き起こす原因になるのは好ましくありません。


仮想通貨の価値が自国の通貨の価値より高くなってしまったら、日本国の金融システムが混乱し、日本円が無くなるかもしれません。これは政財界、役人の既得権益を損ないます。

仮想通貨で上げた利益は課税対象になるでしょうか?

なります。2017年4月1日に金融庁によって施行された、資金決済法改正により、仮想通貨で得た利益が課税対象となりました。ただし、所有したまま生じる価格の上昇で得られる含み益は課税の対象となりません。仮想通貨による利益が課税対象となるのは、購入時よりも時価が高い状態で、現金や他の仮想通貨に替えるか、商品を購入した場合です。なお現金に替えた場合は、時価そのものではなく購入時との差額による利益が雑所得にあたります。例えば、4BTCを200万円で購入し、0.5BTCを30万円で売却した場合、購入時の0.5BTCは25万円相当ですから、利益は5万円になります。

雑所得が20万円を超えると確定申告の対象になります。雑所得には、①他の所得と損益通算できない、②損失をくりこせない、③累進課税が適用される、といったデメリットがあります。正当な理由なく確定申告書を提出しなかった場合、無申告加算税として確定した税金の5〜20%の追徴税金のほか、期限からの経過期間に応じた延滞税が追徴課税されてしまいます。

ビットコインは通貨として認められているのでしょうか?

日本において、ビットコインは、外貨と同様に強制通用力がないため、民法402条に規定される通貨には該当しません。つまりお店で買った品物の代金をビットコインで支払うことはできません。またビットコインは、金融商品取引法上の有価証券にも該当しません。しかしマウントゴックス事件を受け、2016年5月の法改正により、ビットコインは電子マネーと同様、資金決済法の対象となりました。


2017年4月1日に金融庁によって施行された、資金決済に関する法律(資金決済法)2条5項では、ビットコイン(仮想通貨)とは、現金と同様に、『不特定多数の相手に対し、流通手段、支払い手段として使用可能』で、『電子的に価値を移転できる』ものと定義されています。つまりビットコインは電子的な通貨として認められています。そこには「本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く」との但し書きがあります。つまりSuicaなどの電子マネーは通貨建資産なので、ビットコインとは異なります。


法改正により、登録を受けた仮想通貨交換業者以外が仮想通貨交換業を行うことは禁止されました。その結果、海外のビットコイン事業者が、国内登録なく日本国内の者にビットコイン取引を勧誘することは禁止されています。


一般的に通貨が満たすべき条件は3つあります。それは(1)価値の尺度になる(2)価値の保存が可能である(3)決済(交換)の手段になる、ということです。問題は(3)です。資金決済法では、合意があれば仮想通貨が支払い手段として使用可能であることが認められています。つまり金融庁はビットコインをデジタル通貨として信頼できると判断したことになります。

法定通貨は、金本位制が廃止になった現在、政府や銀行などの発行元(中央管理者)への信頼によって価値が認められています。ビットコインは、ブロックチェーンという堅固で透明な電子システムへの信頼によって、価値が保証されています。2018年11月現在BTCの時価総額は13兆円を超えています。ビットコインは銀行や大企業と同程度の資産価値になっています。

ビットコインが中央管理者の権力なしに信頼を生成することに技術的に成功したことは画期的なことです。度々起こる不祥事は取引所の不十分なセキュリティ対策に起因するものです。この10年間ビットコインのシステムは、一度も止まることなく、稼働し続けてきました。

そもそもビットコインには価値があるのでしょうか?

ビットコインはデジタルゴ-ルドと呼ばれることがあります。しかしビットコイン自体はデ-タで、実用的な価値はありません。ブロックの生成計算自体にも価値はありません。ビットコインの価値はどこから出てくるのかが気になりますよね。一言でいえば、ビットコインの価値は、国に仮想通貨として認められており、取引所で法定通貨と時価で交換できることにあります。ビットコインには発行上限があるのでインフレによる価値の減少が起きない利点はあります。


 ブロックの採掘費用には、計算機代、電気代、冷却装置代、人件費、建物土地代などが含まれています。発掘費用は法定通貨によって賄われます。従って報奨金として新規発行されるビットコインの法定通貨との交換価値は発掘費用によって決まります。発掘費用と得られたビットコインの量がビットコインの原価を決めます。しかしビットコインの交換価値は市場で決まります。

ブロックチェ-ンにはどんなインパクトがあるのでしょうか?

ブロックチェーンのインパクトは、ブロックチェーンが低価格かつ高信頼な電子システム技術であることにより、従来のビジネスモデルが壊れること、様々な応用により新しいサ-ビスが生じて、社会を一変する可能性があることです。

(1) ゼロダウンタイム
ブロックチェ-ンは停止しないので、システムダウン対策費がかかりません。参加している数千台のコンピューター全てが停止しない限り、1台でも支払い要求が届けば処理されるからです。従来の金融システムでは、メインコンピュ-タがダウンしても処理が進むように、高価なバックアップシステムやダブルシステムを組む費用が発生していました。

(2)ブロックチェ-ン処理
ブロックチェ-ン処理では、ブロック内の支払処理が確定しない間に次のブロックが作られるため、一取引当たりの処理の費用が極めて小さい特徴があります。従来の金融システムでは、メインコンピュ-タで大量の処理を順番に行うので処理費用がかかります。

(3)ハッシュによる高セキュリティ
ブロックチェ-ンは、データを改ざんできないので、セキュリティ費用が掛からないです。インタ-ネット上に全てをさらけ出しても安全です。従来の金融システムでは、データが改ざんされないように、ソフトとハ-ドを堅固に守る費用が発生していました。

(4)非中央管理性
ブロックチェ-ンは、国が破綻しても、破綻しません。国家が破綻すると、法定通貨は価値を失いますが、ビットコインは価値を失いません。ビットコインは誰でも買えます。キプロスで金融危機があったときビットコインが買われました。

(5)分散台帳システム
安価なシステム構築が可能なので、従来かかっていた管理費などのコストを削減することができます。ビットコインは、送金の手数料が殆どかかりません。

リップル(Ripple)とは何でしょうか?

リップルとは、米国のRipple社.によって開発された送金・決済システムであり、そこで使われる仮想通貨の名称でもあります。リップルの通貨単位はXRPであり、時価総額は1兆4000億円で、ビットコイン、イーサリアムに次いで第3位となっています。リップル社がリップルネットワークの開発およびXRPの発行を行っており、2018年4月時点、世界各国で100以上の金融機関や政府機関と提携しています。


今日、世界中で155兆ドルが国際間送金されています。各国の通貨を一旦XRPに換金して送金することでスムーズに国際送金が実現できます。リップルは国際送金において、通貨の仲立ちをするので、ブリッジ通貨と呼ばれています。銀行が1~3日、4,000円かかる送金処理をリップルは3秒、10円で行います。ビットコインより手数料がかからない特徴があります。リップルはGMOコインが販売を行っています。

リップルはビットコインと同様に分散型台帳技術を利用しますが、二重支払いの検知をプルーフ・オブ・ワーク・システムではなく、独自に開発されたコンセンサス・システムによって行います。これによりビットコインの致命的な弱点であるスケーラビリティや消費電力といった問題を克服したと述べています。ビットコインでは平均10分かかっていた決済をリップルでは数秒で行うことができます。リップルの発行上限は1000億枚です。リップルはビットコインの暴落とともに値を下げています。

スケーラビリティ問題とは何ですか?

スケーラビリティ問題とは、ビットコインを送金や決済手段として活用するユーザが増加し、取引データが増加したことで、ネットワークに混雑が生じ、送金の遅延や送金手数料の高騰が発生する問題のことです。ビットコインは約10分間に1MB分の取引しか承認することができません。それ以上の取引が発生してしまうと、スケーラビリティ問題が発生します。

それに対してはSegwit(セグウィット)やサイドチェーンやライトニングネットワークなどの対応策が提案されました。Segwit案を主張した「ビットコインコア派」と、ブロックサイズの拡大案を主張した「ビックブロック派」が対立し、2017年8月1日に、Segwitを実装した現在のビットコインと、ブロックサイズを拡張したビットコインキャッシュに分裂しました。その他にもビットコインゴールド(2017年10月24日)、ビットコインダイヤモンド(2017年11月25日)、スーパービットコイン (2017年12月12日)、ビットコインウラニウム(2017年12月31日)、ビットコインプライベート (2018年3月1日)などが分裂して誕生しています。分裂したビットコインの中には詐欺であることが分かったものもあります。

POW (proof-of-work)とは何でしょうか?

ブロックチェーンの特徴の一つは、分散型POWという合意形成アルゴリズムが採用されていることです。POWとは、サービスの利用者に一部の処理作業を要求することで、サービスの不正利用を抑止する経済的手段のことです。分散したコンピュ-タの台帳にブロックを追加するには、全員からブロック追加の合意を得なければなりません。ブロックチェ-ンでは、継続するブロック数が一番多いブロック系列が自動的に選ばれるというアルゴリズム(ル-ル)によって、コストをかけずにブロックが追加されます。ブロック追加のための管理者を置く必要がないので、分散システムが保たれます。銀行などの中央管理者が担っていた取引データの検証・承認作業を、ブロックチェーンでは、不特定多数のマイナ-が行う仕組みになっています。適正なブロックを他のマイナ-に先駆けて追加するには高速で膨大な計算が必要です。


ブロックは10分以内に1個の速さで追加できるように作成難易度が自動的に調整されます。市場においてビットコインの法定通貨との交換価値が上がれば、報酬が増えるので、マイナ-は増えます。マイナ-が増えると、アルゴリズムは、ブロック作成の難易度をあげて、採掘費用を上げ、マイナ-の参入を抑制します。
ビットコインの総発行量は2100万BTCと決まっているため、いつかはマイニングの報酬はなくなり、その後の報酬は取引の手数料だけになります。取引手数料が高くなると、ビットコインの乱高下が収まるかもしれません。果たして手数料だけでブロックチェ-ンシステムが保たれるかが気になります。

ブロックにはどのようなことが書かれているのでしょうか?

図2にビットコインのブロックの内容例を示します。block_hashはこのブロックの64桁のハッシュ値です。trueなのでメインチェーンです。ブロックのバージョンは1です。prev_blockは前のブロックのハッシュ値です。merkle_rootはマークル・ルートのハッシュ値です。これは、次々と2つの取引情報のハッシュ値を連結させた数値のハッシュ値を計算して、最終的に得られた値です。Timestampはブロックが生成された日時(UTC)です。Bits=486604799はマイニングの難易度を表しています。Nonce=2,083,236,893はナンス値で20億もの値になっています。これくらい計算しないと適合するブロックは見つからないということです。Txnumはトランザクションの個数です。total_feesは手数料の合計(satoshi単位)です。1サトシは百万分の1BTCです。tx_hashesは、ブロックに含まれるトランザクションIDの配列です。2019年7月17日現在、1BTCは118万円で取引されています。

図2 ビットコインのブロックの内容例

図3にビットコインのトランザクションの内容例を示します。tx_hashはトランザクションのハッシュ値です。block_height=370470はこのトランザクションを含むブロックの高さを表します。含まれていない場合は、-1となります。Confirmed=325は確認された回数、fees=20000は手数料(satoshi単位)を表します。Size=257はサイズが257bytes、received_dateは受取日時(UTC)を表しています。Version=0はトランザクションのバージョン、lock_time=0ロックタイムです。
Inputsには入力情報であるTxinの配列が書かれています。prev_hashはこのTxinを出力した前のトランザクションの64桁のハッシュ値です。prev_index=1は前のトランザクションにおけるTxoutのインデックスです。Value=350,080,000 Satoshiのビットコインの数量を他のアカウントに入力したことを示しています。1Satoshi==0.00000001BTCなので、3.5008BTCの取引になります。Scriptは署名スクリプト(16進数表記128桁)、 Addressはビットコインアドレス(16進数表記64桁)です。Sequence=4294967295はシーケンス番号です。
Outputsには出力情報であるTxoutの配列が書かれています。第一の取引には、Value=60,000satoshi=0.00060BTCのビットコインの数量を取り出したことを示しています。取り出したスクリプトとビットコインアドレスが書かれています。第二の取引には、Value=350.000,000satoshi=3.50BTCのビットコインの数量を取り出したことを示しています。同様に取り出したスクリプトとビットコインアドレスが書かれています。手数料0.0002BTCと合わせて、3.5008BTCの取引になります。

図3 ビットコインのトランザクションの内容例

デジタル署名とはどのようなものでしょうか?

デジタル署名とは、送信されてきたデータが間違いなく本人のものであるのかを証明するための電子認証技術です。ビットコインでは、送金者が秘密鍵の持ち主であり、取引が偽造・改ざんされていないことを、RSA暗号を用いたデジタル署名で証明します。図1にRSA暗号を用いたデジタル署名の仕組みを示します。

デジタル署名では送信者が公開鍵と秘密鍵を生成します。送信者は、あらかじめ受信者に公開鍵を送付し、受信者は公開鍵を入手します。送信者が受信者に送付する文書データを作成し、文書データのハッシュ値を算出します。そのハッシュ値を、秘密鍵を用いて暗号化します。データと暗号化したハッシュ値を署名として送信します。

受信者は、暗号化されたハッシュ値を、送信者から入手した公開鍵を用いて復号します。受信者は、受信データを、送信者と同じハッシュ関数を使用して、ハッシュ値を算出します。復号されたハッシュ値と、算出されたハッシュ値を比較して一致すれば、正しい文書データだと判断できます。同時に暗号化されたハッシュ値が復号できたことより、送信者の本人確認ができます。

ハッシュ値とは何でしょうか?

ハッシュ値は文書情報を32桁あるいは64桁の16進数で表したものです。16進数では、0,1,2、・・・8,9,a,b,c,c,e,fの16個の数字を使います。2^4=16より、4bitで1桁の16進数を表します。これまでにある文章や数値からハッシュ値を生成するアルゴリズムが開発されてきました。図1にハッシュ値を生成するアルゴリズムとその概要を示します。128bitのMD5なら32桁の16進数を出力します。

セキュリティを高めるためにハッシュ値を生成するアルゴリズムは、年々大きなハッシュ値を扱えるようになっています。SHA-256は256bitの値を生成します。256bitは64桁の16進数に対応します。文書情報は情報の大きさに依らず64桁の数値で表されます。つまり「a」一文字でも、SHA256では、
5AAE1052988B48F4B98898F37F0BD0E47C82AEA33873A3F1DAF32CC5A5790D22
の64桁の数値で表されます。「b」一文字の場合は、
DDB26399963B9A74D781DE39F42CCBB292C922944F590D21F1106A45CC89E382
となり、aとは全く異なるハッシュ値に変換されます。
A4で5ペ-ジの30,418 バイトのワード文書をSHA256で変換するとハッシュ値は
1FA7C665D0DB39083ED8401AD18446FC3E17C2CCA8C835E7C96E37EF2A916871
となりました。「。」を削除するとサイズは8bit増えて、30,426 バイトになり、3EAF2047CA26C79B47AC45B3CFE16A9DDEAE9ACF3928E373E83E74356098342E
と全く異なったハッシュ値になります。このように文書情報の一部が変更されると、ハッシュ値は全く異なる値になりました。従って文書のハッシュ値を記録しておくことで、文書の改ざんをチェックできます。ハッシュ値は2^256種類の有限の値なので、稀に異なる文書が同じハッシュ値になる可能がありますが、その可能性は極めて小さいと考えられています。

・ハッシュ値を簡単に得る方法
7-Zip(https://sevenzip.osdn.jp/)は高圧縮率の無料のファイルアーカイバ(圧縮・展開/圧縮・解凍ソフト)です。ZIP形式には、ファイルを1つにまとめて圧縮するだけでなく、パスワードを付けて内容を保護する暗号化機能も用意されています。7-Zipをインストールすると、エクスプローラの右クリックメニューに新しく[CRC、SHA]という項目が追加されます。ハッシュ値を計算したいファイルを選んで右クリックし、ポップアップメニューからハッシュアルゴリズムを選択すると、そのファイルのハッシュ値が計算され、表示されます。7-Zipは1MBの軽いソフトです。

ブロックチェ-ンはどのようなものなのでしょうか?

ブロックチェ-ンとは、ビットコインなどに用いられる取引情報などが記録されたブロックと呼ばれるファイルを1次元的につなげた台帳のことです。ブロックチェ-ンシステムとは、ブロックを増やしながら、複数のコンピューターでひとつの台帳を共有管理するシステムです。ブロックを追加する主体をマイナ-と言います。マイナ-が適正なブロックを追加すると報酬としてビットコインが支払われます。

ブロックにはハッシュ値があり、ハッシュ値がある条件を満たすときに、ブロックを追加できます。具体的には、N番目のブロックのハッシュ値は、ひとつ前のブロックのハッシュ値と取引時間とN番目のブロック内の情報のハッシュ値とナンス値を連結した数値のハッシュ値になります。但し、ナンス値は、ブロックのハッシュ値がある数値より小さくなる設定条件を満たすように決定されます。マイナ-は高性能のコンピューターを用いて、他のマイナ-より早く適合するブロックを発見・追加することで、報酬を得ます。

最初のブロックがネットワ-クに放たれたのは2009年1月3日です。現在のブロックは585,650個目が作成されています。ブロックは10分以内に1個の速さで追加できるように難易度を自動的に設定しています。現在は平均8分に1個の割合で生成されています。

BTCの発行上限は2100万枚に決められています。4年に一度のペースでブロックの報酬が1/2になります。これは短い期間の発行枚数急増によるインフレにより、ビットコインの価値が急落してしまう事態を避けるために考えられたものです。初期の発行枚数は50BTC(1回)でしたが、開発から10年が経った現在では、2回の半減を経て発行枚数が12.5BTCになっています。現在の120万円/BTCでは、1ブロック1500万円の報酬が得られます。

RSA暗号とはどんな暗号でしょうか?(2)

p、qが小さい素数の場合に、公開鍵と秘密鍵を求めてみましょう。

(2)N=33(p=3、q=11)の場合
 N=p×q=3×11と因数分解できる場合を考えます。(p-1) (q-1)=2×10=20です。N=33を法とする場合、剰余値には0~32までの33個の数しか現れません。表2にべき乗の法を33とした値を示します。2と10の最小公倍数(LCM)は10ですから、
・  n・LCM+1=11、21、31、41、51、61、・・・(n=1.2.3.・・・)
となります。21=3×7、51=3×17、91=7×13、111=3×37ですが、鍵の候補は、20以下の自然数なので、
・ (公開鍵、秘密鍵)=(3、7)、(3、17)、(7、13)
となります。公開鍵と秘密鍵を入れ替えても構いません。例えば、平文値が17の場合、公開鍵3を用いて17を法33の下で3乗して暗号値29を得ます。復号時には、秘密鍵7を用いて、29を法33の下で7乗すると元の値17に戻ります。3乗して7乗するので、平文値mが21乗され、元の値mに戻ります。

表2 べき乗の法を33とした値

(3)N=35(p=5、q=7)の場合
N=p×q=5×7と因数分解できる場合を考えます。(p-1) (q-1)=4×6=24です。N=35を法とする場合、剰余値には0~34までの35個の数しか現れません。表3にべき乗の法を35とした値を示します。4と6の最小公倍数(LCM)は12ですから、表3の暗号値は周期12で変化していることが分かります。
・  n・LCM+1=13、25、37、49、61、73、85、97・・・(n=1.2.3.・・・)
となります。鍵の候補は、24未満の自然数なので
・ (公開鍵、秘密鍵)=(5、5)、(7、7)、(5、17)(11、11)(7、19)
となります。公開鍵と秘密鍵を入れ替えても構いません。

表3 べき乗の法を35とした値

(4)N=85 (p=5、q=17)の場合
N=p×q=5×17と因数分解できる場合を考えます。(p-1) (q-1)=4×16=64です。N=85を法とする場合、剰余値には0~84までの85個の数しか現れません。表4にべき乗の法を85とした値を示します。4と16の最小公倍数(LCM)は16ですから、表4の暗号値は周期16で変化していることが分かります。
・  n・LCM+1=17、33、49、65、81、97、113、129・・・

となります。鍵の候補は、64未満の自然数なので
・ (公開鍵、秘密鍵)=(3、11)、(7、7)、(5、13)、(3、43)、(5、29)、(7、23)、(3,59)
となります。公開鍵と秘密鍵を入れ替えても構いません。実際の暗号にはもっと大きな数が用いられます。

表4 べき乗の法を85とした値

(5)N=20190707(p=4567、q=4421)の場合
2019年の七夕の日にちなみ20190707という比較的大きい数字を考えましょう。
・ N=20190707=4567×4421
と素因数分解できます。つまりN=20190707、p=4567、q=4421です。
・ (p-1)(q-1)=4566×4420=20181720

  (=2 * 2 * 2 * 3 * 5 * 13 * 17 * 761)
を法(mod)とする剰余計算を行います。剰余計算とは、法で割った余りを与える計算です。
法(p-1)(q-1)と互いに素な自然数C(公開鍵)に対して、
・ C×D≡1 mod (p-1)(q-1) かつ 0≦D≦(p-1)(q-1)
を満たす数D(秘密鍵)が存在します。例えばC=707(=101×7)に対して、
・ 707×D≡1 mod 20181720 かつ 0≦D≦20181720
なる自然数Dは997525043です。なぜなら
・ 707×997525043=705250205401
・ 20181720×34945=705250205400
より
・ 707×997525043=20181720×34945+1
が成り立っているからです。受信者は、(N、C)=(20190707、707)を公開し、D=997525043は秘密鍵として非公開にします。送信者は、送りたいメッセ-ジを数字m(0≦m≦N)に変換し、公開鍵Cを用いて
・ K=m^C mod N
なる暗号文Kを送信します。暗号文Kは公開鍵から復号することはできません。受信者は、秘密鍵Dを用いて暗号文Kを復号し
・ m=K^D mod N
元のメッセ-ジmを得ることができます。代入すると
・ (m^C mod N)^D mod N=m^CD mod N=m ・・・(3)
となります。最後の等式(3)は、次に示すオイラ-の定理より、
・ CD≡1 mod (p-1)(q-1) かつ 0≦D≦(p-1)(q-1)
を満たす秘密鍵Dであれば、成り立ちます。Nを因数分解し、pとqを得られれば、(p-1)(q-1)を法として、公開鍵Cに対する秘密鍵Dを求めることができます。

(6)オイラ-の定理とは
オイラ-の定理とは、正整数m、Nに対して、m、Nが互いに素であるとき、
・ m^φ(N)≡1 mod N ・・・(4)
が成り立つというものです。ここでオイラー関数φ(N) は「Nより小さい正の整数のうち、Nと互いに素な数の個数」を表す関数です。素数Pの場合φ(P)=P-1となります。
・ φ(N)=φ(pq)=(p-1)(q-1)
となります。(2)式をv乗して、両辺にmをかけると
・ m^(φ(N)v+1)≡m mod N ・・・(5)
(3)と(5)を比較すると
・ CD=φ(N)v+1
を満たす整数Dとvが存在しれば、復号できることが分かります。一次不定方程式の整数解の定理により、Cとφ(N)が互いに素であれば、整数Dとvが存在します。もしDが負なら、
・ C(D+kφ(N))-φ(N)(v+kC)=1
と変形し、十分大きい数kを用いて、Dを正数D+kφ(N)に置き換えることができます。

RSA暗号とはどんな暗号でしょうか?

近年、ビットコインなどの暗号通貨が登場してきました。こうしたものはRSA暗号や楕円曲線暗号などの暗号技術に支えらえています。RSA暗号とは、ロナルド・リベスト、アディ・シャミア、レオナルド・エーデルマンの3人の暗号研究者が1978年に発明した公開鍵暗号の一つです。これは桁数が大きい合成数Nをp×qと素因数分解するのが困難であることを利用した暗号です。p、qが小さい素数の場合に、公開鍵と秘密鍵を求めてみましょう。

・暗号とは
 メッセ-ジは文章で書かれていますが、文字と空白を数字に対応させることで、メッセ-ジ(平文)を一つの大きな自然数mに対応づけることができます。公開鍵暗号とは、第三者が読めないように、公開鍵を用いて数mを別の数値Mに変換して送信する技術です。受信者は、秘密鍵を用いて暗号文Mを元の平文値mに復号します。公開鍵暗号では、公開鍵から秘密鍵を推定できないように工夫されています。

・剰余とは
暗号化には平文mより大きな数を法とする剰余計算を用います。剰余計算とは、ある数(法)で割った余り(modulo)を与える計算です。例えば法13における50の剰余は、50を13で割った余り11となります。これを
・ 50 mod13=(3×13+11)mod13=11
と表記します。剰余計算により、暗号文Mが法より大きくなるのを防ぎます。
剰余計算には
・ A×B mod C=(A mod C)×(A mod C)mod C
といった性質があります。例えば、A=50、B=41、C=13の場合
・   41 mod 13=(3×13+2)mod13=2
ですから、
・ 50×41 mod13=(50 mod13)×(41 mod13)=11×2 mod13=(13+9) mod13=9
となります。こうした規則を用いると、計算量を減らすことができます。

・オイラ-数φ(N)とは
Nより小さい正の整数のうち、Nと互いに素な自然数の個数をオイラ-数φ(N)と言います。N=10の場合、10より小さく、10と互いに素な数は、{1、3、5、7}の4つなので、φ(10)=4となります。素数pの場合、pより小さく、pと互いに素な数は{1、3、5、・・・p-1}のp-1個なので、φ(p)=p-1となります。pと異なる素数qを用いて、N=pqと素因数分解できる場合は、{1、3、5、・・・p-1}×{1、3、5、・・・q-1}によって生ずる(p-1) (q-1)個の数はいずれもNと互いに素であるので、φ(N)=(p-1) (q-1)となります。
正整数m、Nに対して、m、Nが互いに素であるとき、
・ m^φ(N)≡1 mod N ・・・(1)
が成り立ちます。これをオイラ-の定理といいます。ここでm^3=m・m・mの意味です。N=pqの時は、Nに素な数mに対して
・   m^(p-1) (q-1)≡1 mod pq ・・・(2)
が成り立ちます。法pqの下では、平文mの指数を増やしていくと、(p-1) (q-1)乗で元に戻る周期的な性質があることを示しています。RSA暗号はこの性質を用いて、作られています。

(1)N=21(p=3、q=7)の場合
 N=p×q=3×7と因数分解できる場合を考えます。(p-1) (q-1)=2×6=12です。Nを法とする場合、剰余値には0~20までの21個の数しか現れません。表1にべき乗の21を法とした値を示します。

表1  べき乗の21を法とした値

これは左端のある数m(1≦m≦20)に対して、1乗、2乗、3乗、・・・26乗した値に対して法21をとった結果を表にしたものです。法21の下では、7乗、13乗、19乗、25乗すると、1~20の値が元の値に戻ることが分かります。この表から、指数が6増加すると周期的に同じ値を繰り返すことが分かります。つまり(2)式
・ m^6 mod21≡1
が成り立っていることを示しています。周期6は、(p-1)と (q-1)の最小公倍数(LCM)になっています。平文値mがべき乗で同じ値になるのは、指数がn・LCM+1乗(n=1,2,3,,,)になるときです。つまり、7、13、19、25、31、37、・・・乗の場合です。25は5×5と表せるので、公開鍵を5、秘密鍵を5にすればよいことが分かります。つまり平文値mを公開鍵で5乗して暗号化し、秘密鍵で5乗すれば復号できます。秘密鍵d=5は、(2)式
・ 5×d mod 6 ≡ 1
を満たしています。なぜなら、
・ 25 mod 6 =(6×4+1) mod 6 ≡1
だからです。表1で、例えば平文値が4の場合、4を5乗すると、暗号値は16になります。さらに5乗すると暗号値16は元の平文値4に復号されます。mがどんな値であっても
・ (m^5)^5 mod 21=m^25 mod 21≡(m^6)^4・m mod 21≡m
が成り立つので、mは25乗すると元に戻ります。

富山の中山間地域の今年度予算

コンパクトシティ構想で有名な富山県の平成31年度予算は5,548億円です。富山県は、基本的に人口減少を食い止め、経済を活性化させ、全ての人が健康で活躍できる環境づくりを促進しようとしています。新幹線ができて4年、豊富な移住支援金、高い教育レベルによって首都圏からの移住も増えてきているようです。知事はIT技術で農村にいながら仕事ができる働き方改革に期待をしています。


26個の施策テーマ別の事業のなかで、12番目の事業タイトルは、「豊かで魅力ある中山間地域の実現 ~中山間地域の活性化に向けて~」です。中山間地域の魅力化の課題は、中山間地域の体制整備と人材の育成確保、活力ある農山村づくりと地域経済の活性化、地域生活の維持向上の3つでした。参考までに各項目の予算を書き記しました。農魚山村基盤づくりには225億円もの資金が使われているのですね。


果樹産地継承支援300万円は少なすぎますよね。果樹産地継承支援事業はせっかく味もおいしくて全国的にも評価されている果樹の園地が、経営者、生産者がご高齢になって承継されない、後継者が見つからないといった場合に、虫がつくので全部伐採するなんていうことが起こっています。これを農地中間管理機構に管理してもらって、その間に後継者を見つけるといったような取り組みだそうです。
 がんばる女性農業者支援事業1000万円といったものもあります。中山間産地等人材育成支援事業、就農希望者に対して、産地等が行う研修に必要な施設・機械の整備を支援しようとしています。
定住できなければ、人口減少の激しい中山間地域の活性化はできません。空き家対策1000万円は少なすぎます。多面的機能支払支援事業20億円、農地集約5億円や移住支援金1.2億円を削ってでも、空き家対策に資金を投じるべきではないでしょうか。

http://www.pref.toyama.jp/cms_pfile/00019696/01220809.pdf

1. 持続可能な中山間地域の体制整備と人材の育成確保
(1) 地域づくり人材の育成   集落支援推進事業1.5億円
(2) コミュニティ活性化のための話し合いの促進 350万円
(3) 移住定住の促進 移住支援金1.2億円
(4) 農山漁村地域の活性化 多面的機能支払い支援事業20億円

2.活力ある農山村づくりと地域経済の活性化
(1)地域資源の利活用 1000万円
(2)生産性の高い農業の確立 400万円
(3)農業経営基盤の強化 農地集約5億円
(4)若い担い手の育成確保 果樹産地継承支援300万円 就農研修500万円
(5)農魚山村基盤づくり 土地改良175億円、治山造林50億円
(6)鳥獣被害の防止 2億円
(7)林業成長産業化 6億円

3.地域生活の維持向上
(1)空き家対策 1000万円
(2)生活交通の確保 3億円 
(3)買い物支援  100万円
(4)除雪対策  1.2億円
(5)地域包括ケアシステムの構築 1.1億円
(6)6次産業化の推進 1.2億円 がんばる女性農業者支援事業1000万円

どうして水が1万度の火炎になるのでしょうか?

6月11日のテレビ朝日の羽鳥慎一のモ-ニングショ-で東工大の渡辺隆行准教授(58歳)らが開発した水プラズマ・ジェット火炎(トーチ)が紹介されました。水で1万度以上の火炎が得られるとは、驚きですね。しかし既に水プラズマ技術自体は10年前に開発されました。今回は、ヘアドライヤ感覚で使える水プラズマ・トーチが紹介されました。クリ-ンで低コストの携帯型フロンガス処理装置として注目されています。他にも有用な使い道があるかもしれません。

水プラズマト-チの外観

水プラズマ火炎の発生原理
水プラズマとは1万度以上の高温状態の水素原子と酸素原子と電子の集合体のことです。水プラズマ火炎の発生原理は、電極間に水蒸気を供給し、放電してプラズマにするだけです。従来の装置は、配管で水蒸気を供給していますが、水蒸気が配管の途中で冷えると凝結し詰まってしまうので、配管を100℃以上に保つ必要があり、装置が大きくなります。

発明のポイント
今回は、タングステン繊維の細長いフエルトに水を吸わせて給水する工夫をすることで、直接、水を高温の放電部に供給でき、効率よくプラズマを発生させることができました。放電部は銅製の加熱部で100℃以上に保たれています。陰極にはハフニウムが用いられており、強い酸化性の高温の水蒸気でも長時間、耐えることができます。はじめて液体の水から直接水プラズマを発生することが可能になりました。従来の水蒸気プラズマ装置は、高温の冷却水を捨てていたので、約30%の熱効率でしたが、水プラズマでは90%の熱効率が得られました。


水プラズマのフロンガス処理能力
フロンは電気炉などで2000℃に加熱するだけで分解できます。水プラズマ・トーチの電力は1kWで1時間当たり160gのフロンやハロンを分解することができます。代替フロンとして用いられるフロン134aの場合、1気圧で約20リットル、つまり500cc缶1本分を1時間で分解できます。フロンのフッ素は、アルカリ処理でCaF2(ホタル石)として沈殿します。ホタル石はCaCl2が混じるために純度は低く、高値では売れないようです。
実は、西日本のフロンを処理するために北九州の処理施設まで集めてきます。フロン処理費用の大半は輸送費になっているので、携帯可能なフロン処理装置は輸送費を節約できる利点があります。


水プラズマを利用した廃油処理車
昨年から車載型の廃油分解処理装置が開発されています。自動車のディーゼルエンジンから200kWの電力をまかなっています。水プラズマ火炎にPCBや硫酸ピッチなどの廃油を噴射することで、分解処理します。PCBは有毒な絶縁油です。硫酸ピッチは石油精製の硫酸洗浄工程で発生するタール状の物質です。硫酸ピッチは有害な重金属を含んでおり、水分と反応すると亜硫酸ガスを発生させます。水プラズマ処理で、炭素は二酸化炭素に、重金属は安定な金属酸化物になります。
PCBは処理施設に移動するには法的許可が必要です。硫酸ピッチはドラム缶に詰められ山中に不法投棄されるのが問題になっています。容器のドラム缶が溶けて運べない状態になっていることが多いので、車載型の分解処理装置が役に立ちます。

水プラズマ火炎の他の応用
 渡辺准教授は生ごみも含めて水プラズマ火炎で燃焼し、発生する水素ガスを回収したいと述べていました。有機物を燃やすと灰が残ります。灰はふわふわして扱いにくいし、重金属が含まれていると水に溶け出して危険です。そのため、プラズマを使って灰をガラス状に固めて捨てます。これを灰溶融(ash melting)といいます。

水プラズマ火炎で発生した高温の排ガスは、ガスタ-ビンやTPV、バイオマスなどの発電装置にも使えるかもしれません。

水プラズマ火炎の心配事
 携帯型の水プラズマト-チは、極めて安価で、20mm厚の鉄板を焼き切ることも可能です。金庫やATMや自動販売機の集金箱などは簡単に破られてしまうので、犯罪に用いられる可能性が高いです。水プラズマト-チは、いわば現代の斬鉄剣ですが、コンニャクはうまく切れないようです。

冬にトマトが採れるのはどうしてでしょうか?

トマトの開花は、昼夜の長さではなく、苗の長さに依存するので、トマトは冬でも採れるのです。基本的にトマトは花粉を運ぶハチやチョウによって実を付けるので、トマトの旬は夏です。しかし冬場、トマトの花にオーキシンをかけると、花粉がつかなくても、実が肥大します。だから冬トマトには種がありません。また種なしトマトの品種もあります。種なしトマトはハチやオ-キシン処理がなくても、花が咲けば実がなります。

トマトの皮は薄いので、根から急激な水の吸収があると裂果してしまいます。裂果を避けるために、トマトは温室あるいは透明シ-トで覆って栽培されます。
市販のトマトの75%は「桃太郎」という品種です。桃太郎シリ-ズは25種あります。桃太郎は熟した状態の実が収穫でき、実が赤く熟してから完熟するまでの時間が長い特徴があります。桃太郎は味や栄養価でも優れているために、トマト市場を席捲しました。


トマトはコラ-ゲン合成に必要なビタミンC、老化を抑制するビタミンE、塩分の排出を助けるカリウム、腸内環境を整える食物繊維などをバランス良く含んでいます。トマトにはリコピンやβ-カロテンなどの抗酸化物質が豊富に含まれています。トマトの赤はリコピンによるものです。トマトはうま味が強いので、鍋料理にもよく用いられます。生食より加熱食の方が、リコピンの吸収が2~3倍増加すると言われています。

固定種にはどんな利点があるでしょうか?

全国各地で栽培されている在来品種・地方品種のほとんどは固定品種です。例えば京都の京野菜、大坂のなにわ野菜などがあります。不揃いで生産性は低くても、味の濃い固定品種は値段が高くても根強い人気があります。F1種は生育期間が短くなった結果、ミネラルが少なくなり、味が薄く、光合成の期間も短いので、ビタミンCなどの栄養素が少なくなった可能性もあります。家庭菜園の場合、固定種の方が生育期間にばらつきがあるので、長期間に少量の収穫が持続できる利点があります。自家採種が可能なので、種を買わずに済みます。自家採種して固定種を鍛えることで無肥料栽培が可能になり、循環型の持続可能な農業ができます。

交配種の作れない野菜はあるでしょうか?

交配種が作れない野菜もあります。その代表はレタスとマメ類です。レタスには自家不和合性がなく、雄性不稔系統は見つかっていますが、利用しにくいようです。しかし、永年にわたる品種改良と品種選抜の結果、固定品種でもレタスは全国的に流通する良品ができています。大豆は遺伝子組み換え品種が完成しています。マメ類のエンドウ・インゲンマメ・ソラマメ・エダマメなども重要な野菜ですが、固定品種での生産が続いています。ゲノム編集で雄性不稔系統が作り出されるようになるかもしれません。ニンジンでも雄性不稔性利用による交配種ができていますが、本紅金時人参などの固定品種も広く栽培されています。

雄性不稔性はどのようにして生じるのでしょうか?

雄性不稔の遺伝子はミトコンドリアの環状DNAの中にあります。野生植物の場合、細胞の核内にある直鎖型DNAには花粉形成の回復遺伝子があり、ミトコンドリアの雄性不稔の遺伝子が働かないように抑制しています。

栽培植物では、突然変異によりミトコンドリアの雄性不稔遺伝子が無くなったために、核内の花粉形成回復遺伝子も不要になり喪失しました。そのため栽培植物は雄性可稔です。しかし野生植物と栽培植物の交配種の中には、野生植物に由来するミトコンドリアの雄性不稔遺伝子と、栽培植物に由来する花粉形成回復遺伝子のないDNAを有するものがあり、雄性不稔種が誕生しました。以下にこのことを詳しく説明しましょう。

Sを不稔(Sterility)遺伝子があるミトコンドリア遺伝子、F(Fertility)を不稔遺伝子がない可稔のミトコンドリアの遺伝子、RRを花粉形成回復遺伝子を有する核の優性遺伝子、rrを花粉形成回復遺伝子を有しない核の劣性遺伝子としましょう。そうすると野生種の遺伝型はS-RR、栽培種の遺伝型はF-rrと書けます。野生種と栽培種が偶然交配し、
・ S-RR(野生種)× F-rr(栽培種の花粉)→ S-Rr(可稔株)
S-Rrなる可稔株が誕生したと考えられます。さらにS-Rr同士の受精により
・ S-Rr(可稔株)×S-Rr(可稔株の花粉)→S-RR(野生)、 S-Rr(可稔)、S-rr(不稔)
の3種類の種が生まれました。このうち、S-rrは、核がミトコンドリアの不稔遺伝子の発現を抑制できないので、不稔になります。すなわち雄性不稔種の遺伝型はS-rrと書けます。

結局、歴史的に見ると、雄性不稔種にはミトコンドリアの異常があるという言い方は正しくありません。なぜなら元の野生種にはすでに雄性不稔遺伝子が含まれていたからです。むしろ野生種が突然変異して栽培種が出現したことが異常なことだったのです。栽培種と野生種から生まれた可稔株同士の交配によって、必然的に雄性不稔株が生じます。

雄性不稔種と同じ遺伝型をもつ栽培種の花粉を用いることで、
・ S-rr(雄性不稔種)× F-rr(栽培種の花粉)→ S-rr(雄性不稔種)
により雄性不稔種を増殖できます。種苗企業はこのようにしてF1種を生産していると思われます。稔性回復種F-RRを用いれば、
・ S-rr(雄性不稔種)× F-RR(稔性回復種の花粉)→ S-Rr(可稔種)
により、F1種子の可稔性を回復することもできます。つまり優性な花粉形成回復遺伝子Rが雄性不稔遺伝子Sを抑制するので、S-Rrは可稔種になります。

 

ミトコンドリアに雄性不稔の遺伝子が存在するのは何故でしょうか? 

自分の花粉であろうと他の花粉であろうと、種さえできればミトコンドリアの遺伝子は確実に種に受け継がれていきます。雄蕊(おしべ)がなくても他の植物の花粉が雌蕊(めしべ)に付着すれば種はできます。ATPを生産するミトコンドリアには雄蕊をつくることは大きな負荷なのです。それより種子を多くつくる方がミトコンドリアの遺伝子を多く残せます。ミトコンドリアは元来別の生物であり、増殖する意思が強いため、ミトコンドリアは雄性不稔の遺伝子を作り上げたと考えられます。雄性不稔の遺伝子は、ATP合成の遺伝子に隣接しており、雄蕊をつくるときに、ATP合成を阻害するので、雄蕊が正常にできなくなります。
ところが他から花粉が得られない場合には、雄性不稔種は絶滅してしまいます。植物は核内の花粉形成の回復遺伝子によって我儘なミトコンドリアの雄性不稔の遺伝子が働かないように抑制しているのです。

雄性不稔性とはどういう性質なのでしょうか?

雄性不稔性(ゆうせいふねんせい)とは、突然変異によって、本来ひとつの花の中に雄蕊(おしべ)も雌蕊(めしべ)もある種類の野菜なのに、雄蕊がなかったり、雄蕊があっても花粉ができなかったりする性質のことです。

1925年に米国で初めて雄性不稔性の赤タマネギが1個だけ発見されました。通常の黄色い玉ねぎの雄性不稔性品種を得るために、雄性不稔性の赤タマネギに通常の黄色玉ねぎの花粉をつけ続けると、雄性不稔性の黄色玉ねぎの割合が増えていき、6世代後には殆ど完全な雄性不稔性の黄色玉ねぎが得られます。これを戻し交配(バッククロス)と言います。1944年にはF1玉ねぎが販売されるようになりました。一度この雄性不稔株を見つけると、これに正常な株の花粉を受粉して、いくつもの品種の雄性不稔系統が育成できます。


 ある品種の雄性不稔系統の株と別の品種の正常な株とを並べて植えると、雄性不稔系統の株から交配種のタネが採れます。昆虫が花粉を運んでくれるので受粉に人手が要りません。種採りの能率を上げるために、花粉を提供する品種よりも雄性不稔の品種の株を多く植えます。雄性不稔系統の次の代を作るには、同じ品種の正常な系統の遺伝性を調べ、次世代の全部の株が雄性不稔となる花粉親を選んで受粉します。雄性不稔性利用によるF1種の作りは、タマネギから始まり、大根、ニンジンやトウモロコシでも実用化されています。


日本人は野生のハマダイコンから雄性不稔性をもつ舞鶴大根を作りだしていました。あるフランス人が欧州で舞鶴大根と菜種を交配させ、雄性不稔の菜種を開発し特許を取得しました。葉緑体は大根由来だったので、細胞融合で葉緑体を菜種由来に改良したそうです。同じアブラナ科のキャベツやブロッコリ-にも雄性不稔種が得られるようになりました。

F1種をつくるにはどうしたらいいのでしょうか?

F1種に限らず、一般に交配種をつくる方法には、人工受粉、自家不和合性、雌雄異株(いしゅ)、雄性不稔性を利用する4つの方法があります。ヒット品種は何十年も利益を約束してくれますから、種苗企業はあらゆる作物を交配種にするための努力を重ねています。

人工受粉
人工受粉は1927年にナスビで行われました。ナスビの実からは1000個以上の種が得られます。1935年に福寿1号というトマトの交配種が得られました。ナス科の果菜類は一つの花に雌蕊と雄蕊がある両性花なので、開花前に雄蕊を取り除く除雄作業が必要になります。交配には、除雄、袋掛け、花粉集め、受粉などの作業が必要です。ウリ科の場合は、雄花と雌花が別なので、一方の品種の雌花の開花前に袋掛けをして、開花日にもうひとつの品種の雄花の花粉を受粉して人工受粉します。

自家不和合性(じかふわごうせい)
 自家不和合性とは、自分の花粉(あるいは自分と同じ品種の花粉)で雌蕊が受精しない性質のことです。そのメカニズムには様々のものがあります。例えば雌蕊の柱頭に付着した花粉が花粉管を伸ばしても、柱頭の1/3程度で停止してしまいます。花粉の雌性決定要素であるリボヌクレアーゼ(S-RNase)が、雌蕊が同種であることを認識して、花粉管内のリボソームRNAを分解し、花粉管の伸長を阻害します。
例えば、自家受精しなくなったカブと小松菜を一緒に栽培すれば、ミツバチによってカブの雌蕊に小松菜の花粉がかかれば、根がカブで葉が小松菜の新しい交配種「小松菜カブ」が得られます。もちろん根が小松菜で葉がカブのものは破棄します。
カブも小松菜もアブラナ科です。偶然の交雑でできた「小松菜カブ」から採れた種をまき、みやま小カブと、純系の小松菜の株を選び、隔離して育てます。それぞれの菜の花が開花する前に人為的に蕾を開き、自家受粉をくり返します。何年か自家受粉をくり返されたカブと小松菜には、自家不和合性が生まれます。自家不和合性をもつ純系の親を増やすには、温室の空気に3~6%の二酸化炭素を含ませることで、自家不和合性を解除することができます(中西、日向1975年)。1949年にはキャベツ、1950年には白菜に関して、自家不和合性を利用したF1種が完成しました。一般に両親を特定することは経費がかかります。交配ミスを確認するために試作すると種の寿命が1年縮小します。
 
雌雄異株(しゆういしゅ)
この方法はもっぱらホウレンソウで実用化しています。ホウレンソウにはメス株とオス株の区別があります。葉を見てもわかりませんが、春先になると、オス株のほうが早くとう立ちします。まず掛け合わせたい二つの品種を並べて栽培します。一方の品種のオス株を花の咲く前に全部抜き取り、メス株だけにします。その品種のメス株は、隣の他品種のオス株からの花粉を受粉して、交配種の種ができます。

F1種にはどのような問題があるでしょうか?

F1種には3つの大きな問題があります。

第一の問題は、F1種は、気候変動や病害虫の発生により、全滅する危険性が高いことです。年々強くなる病害虫に対応するために、農薬の使用量が増える傾向があります。これに引替え在来種は多様性があり、気候変動や病害虫に強い種が必ずあります。在来種の多様性が失われると、全滅の危険性はさらに高まります。


第二の問題は、交配二代目以降は形も大きさも不揃いになるので、農家は毎年F1種の種を買わなくてはならず、その結果、作物の種子の多様性が失われることです。これまで農家は栽培した一部の作物から自家採種してきました。しかし自家採種には専用の畑が必要で、種の採取や管理に手間がかかります。農家がF1種の種を購入するようになって、自家採種する農家は激減しました。つまりF1種の出現により、農家がこれまで栽培してきた在来種の種類が激減することが危惧されています。種は保管期間が長くなると発芽率が低下します。種を維持するには3年以内に更新しなければなりません。農家が自家採種しないと、気候変動や病害虫に強い在来種は消滅してしまうのです。


第三の問題は、安全な野菜が食べられなくなる可能性があることです。日本にはサカタとタキイの2大種苗会社がありますが、世界全体の2%程度の市場占有率しかありません。モンサントなど上位3社の巨大多国籍企業は60%以上のシェアを持っています。交配種時代になって、採種事業が大手企業の独壇場になったのは、品種集めと試験交配という初期投資に、大金が必要だからです。種を制する者は世界を制するため、巨大多国籍企業は小さな種苗会社を次々に買収しています。そうした巨大多国籍企業は、F1作物だけでなく、遺伝子組替えやゲノム編集技術を用いた安全性が不確かな作物を開発しています。除草剤グリホサ-トのように有害物質の濃度基準値が100倍以上に改正されることもあります。あるいは植物自体に組み込まれた殺虫剤成分などの有毒物質は外来性の農薬ではないので、規制基準値すら存在しません。日本の種苗企業が買収された場合には、日本の安全な野菜が食べられなくなる可能性があります。

F1種とはどんな種でしょうか?

子の形質が両親と同じ形質をもつ品種は、固定品種あるいは固定種と呼ばれています。F1種とは、第一雑種世代(First Filial generation)の略語、すなわち異なる固定品種の両親から得られた第一代目の交配品種のことです。交配はメス親の雌蕊(めしべ)にオス親の雄蕊の花粉を付着・受精させて行います。


雑種強勢の遺伝法則により、F1種は、親品種に比べて、早く大きく育ち、両親の優れた形質を受け継ぎます。雑種強勢の原因はまだよく分かっていません。例えば甘いトマトと日持ちのするトマトを交配させると、そのF1種は甘くて日持ちのするトマトになります。またF1種は、形や大きさ、収穫時期が揃うため、効率的な生産、流通、販売が実現できます。そのため現在小売店で販売されている野菜の殆どが外国産のF1種です。日本の種子自給率は数%と言われています。外国産の種子は、日持ちするように赤や青に着色された殺菌剤が種子に塗布されているので、あまり素手で触らない方がいいです。


現在流通している小松菜は、在来種の小松菜と中国産のタアサイやチンゲンサイと交配したもので、茎が太くて固くて袋に詰めやすく、病気に強くて収穫量も多くなりました。こうした特徴は生産者と流通には都合がよいのです。


近年、自分で料理する人は減っています。多くの会社員は外食で済ませています。現在、流通している野菜のうち、家庭で調理されている野菜は30%弱です。今や種苗企業は、個々の消費者よりも、外食産業、食品加工企業、大手流通業者向けの種を生産しています。つまり、外食産業や食品加工会社では、味付けや加工のしやすい、均質かつ味の薄い野菜を求めています。安くス-パ-に卸されている野菜の多くは、外食・加工産業で余った野菜だと言われています。

虫歯を予防する方法はありますか?

金属はアルカリ性水溶液中では腐食が進行しないことを利用します。食後、重曹水で口内を洗浄し、口内をアルカリ性にするだけで、虫歯は予防できるとのことです。重曹水は500mlに3g程度の重曹粉末を溶かして作ります。酷い歯石は除去した方がいいでしょう。口内がアルカリ性になると、歯の再石灰化が進み、穴が埋まります。Caのブルベイ図があればより明快な説明ができるでしょう。


もし虫歯が金属腐食に起因するのなら、今までの歯科医療の常識は覆されます。虫歯の原因も解らずに対症療法を繰り返してきた従来の歯科医療は何だったのか、ということになりますね。

歯周病にはどのようなリスクがありますか?

健康な歯肉溝では、バイオフィルムの75%が常在菌(グラム陽性好気性球桿菌)であり、歯周病菌はいません。歯周ポケットでは、歯周病菌と思われるグラム陰性嫌気性球桿菌が75%を占めています。歯周ポケットに歯周病菌が繁殖すると、歯周病菌の毒素により、歯茎がはれます。毛細血管から侵入した歯周病菌は血管内でアテロ-ム性プラ-クを形成し、血管を狭くするので、脳卒中、脳梗塞、心筋梗塞を引き起こします。歯茎の炎症により、免疫細胞からサイトカインTNF-αが分泌され、糖代謝を妨げ、糖尿病になるリスクもあります。またプラ-ク自体が気管支炎や誤嚥性肺炎の原因にもなります。妊婦や胎児にも悪影響があります。

歯科用合金にはどんな問題があるでしょうか?

電気化学説が正しいとすると、虫歯治療に歯科用合金を用いると、歯が溶けて虫歯になりやすくなります。北九州の歯科医さんの実験によると、歯と歯科用合金(12%金・銀パラジウム合金)をpH3の塩酸に漬けると、歯に対して、歯科用合金の電位は+0.57Vでした(図1)。歯の電位の方が低いので、歯が溶けだしてしまいます。

図1 歯と歯科用合金(12%金・銀パラジウム合金)の電位差測定の様子


他の歯科医は、歯科用合金には水銀が含まれており、咬合時に水銀が溶出する害を指摘しています。水銀は脳内に入れば、タンパク質の硫黄と結合し、数年間蓄積するようです。水銀の多くは腎臓に蓄積し、その半減期は2か月だそうです。できるだけ歯科用合金は取り外した方がよさそうです。そもそも現在でも歯科用合金を使っている国は、日本だけです。

図2 歯と亜鉛の電位差測定の様子


一方、歯と亜鉛では、歯(エナメル質)に対する亜鉛の電位は-0.33Vでした(図2)。亜鉛は歯に電子を供給するために、歯を守ります。亜鉛を含むアマルガムやリン酸亜鉛セメント、カルボキシレートセメントを使うと虫歯になりにくいというわけです。歯科用合金を亜鉛メッキするのもいい方法かもしれません。

象牙質の虫歯が急速に進行するのは、酸にたいする耐性ではなく、象牙質とエナメル質の自然電位(イオン化傾向)に僅かな違い(2mV)があるからだと考えています。実際に歯を強い酸で溶かすと象牙質よりエナメル質が先に溶けてしまうそうです。結局、歯周病に対しては象牙質が露出しないようにする予防が必要です。

http://mabo400dc.com/dental-treatment/electrochemistry/電気化学的虫歯予防法/

虫歯は歯の腐食現象なのでしょうか?

北九州のある歯科医は、虫歯は微生物によって引き起こされる電気化学的な腐食現象だと考えています。興味深い学説なので紹介したいと思います。従来、虫歯菌が出す酸が歯を溶かすと言われていました。しかし歯はpH2程度の酸でも腐食されません。虫歯菌が出すpH5程度の酸では、歯は溶けないのです。
彼によれば、虫歯は、虫歯菌の付着する面の酸素濃度が低下して、歯から電子が奪われ、歯のカルシウム(Ca)が溶けだす電気化学的な腐食現象だということです。

歯はヒドロキシアパタイト(水酸化リン酸カルシウム;Ca10(PO4)6(OH)2)でできています。歯は金属ではないですが、電気導電性があります。Caのイオン化傾向は高いので、Caはイオン化して水に溶出しやすいミネラル元素なのです。実際、pH4の水溶液中で、抜歯した歯に電流を流すと3時間で歯の大部分は腐食喪失します(図1)。

図1 pH4の水溶液中で抜歯した歯に通電した結果


歯の象牙質の表面を顕微鏡で観察すると、象牙細管が見られます(図2)。象牙細管は直径3μm位の歯髄(神経)まで続く細い管です。この穴の中の酸素濃度は低くなっています。表面積は非常に大きいので、Ca2+が溶出しやすい構造になっています。

     図2 歯の象牙細管の光学顕微鏡像


これに細菌が付着しバイオフィルムを形成すると、細菌の出す酸により歯の近傍がpH5~6程度になり、好気性細菌の呼吸によりさらに酸素濃度が低下し、それによって歯の腐食が加速すると考えられます。細菌により酸素の濃度の差が拡大するために、口内で酸素濃度差電池が形成され、歯が腐食すると考えています。


バイオフィルムとは
唾液成分の糖タンパクが歯の表面に薄い皮膜を作ります。その皮膜の上にくっついたミュータンス菌がショ糖を使ってグリコカリックスという粘性物質を分泌します。そこに他の細菌が侵入して、増殖します。この状態をプラークまたはバイオフィルムと呼んでいます。歯周病菌は、産生する毒素で歯ぐきを腫らし、血や膿を出し、歯の周りの骨を溶かすと言われています。このプラークが唾液や血液の無機質成分を吸って固まったものを、歯石と呼びます。ちなみに一般に細菌が好むpHは7~8程度であり、乳酸菌、あるいはカンジタ菌などのカビや酵母が好むpHは4~6だと言われています。

 

 

金属はアルカリ性水溶液中でも錆びますか?

金属はアルカリ性水溶液中では腐食が進行しにくいです。鉄を酸性溶液につけると水素を発生しながら腐食するのはよく知られています。しかし鉄板の表面の脂汚れをアルカリ溶液で洗浄する時には、鉄は腐食されません。
図1に室温における鉄の電位-pH図を示します。これはプルベイ(Bourbaix)図と呼ばれます。横軸は水素イオン濃度pH、縦軸は溶液の酸化力に相当する酸化還元電位を示しています。電位は水素標準電極の電位を基準にしています。領域Aは金属Feが安定な条件領域です。領域CはFe酸化物が安定な条件領域です。領域Bは鉄イオン(Fe2+、Fe3+)が安定な条件領域、すなわち鉄の腐食領域です。鉄が腐食するpHは限られており、pH9~14のアルカリ性水溶液中では、電位に関わらず鉄は薄い酸化被膜に覆われ、腐食が進行しません。

                                  図1 鉄の電位-pH図 (東北大学HPより)


Feが電子を放出してFe2+イオンになる(酸化反応)には、その電子を受け取る反応が必要です。酸性溶液中では水素イオン2H+が、電子を受け取って水素分子H2になります(還元反応)。中性領域中では、鉄がさびる時には、水に溶けた酸素O2が電子を受け取ります。水溶液がアルカリ性になると、Fe表面が安定な黒錆膜Fe3O4で覆われ、電子を受け取ることができなくなります。
ちなみに図1における2本の破線は水の生成・分解に関わる2つの反応の電位を示しています。それらは電気分解の理論分解電圧、水素-酸素燃料電池の理論起電力に相当します。その差(約1.2V)は、溶液のpHに依存しません。

同種金属の場合でも錆びますか?

同種金属でも、電解液の銅の濃度が違ったり、溶存酸素濃度が違ったりすると腐植電池が形成されます。例えば食塩水を塩橋で隔て、一方に空気を吹き入れ、もう一方に窒素を吹き入れると、酸素濃度に差ができます。そのため「通気差腐食」とも言われます。この場合は、酸素濃度の小さい方の電極が錆びます。正極から負極に流れる水酸基イオン4HOは、電子が奪われる負極側にドリフト拡散し、逆反応
・ 4OH → 2H2O+O2+4e
によって、酸素濃度の低い負極側に酸素を供給します。つまり両極近傍の酸素濃度を均一にするために電極間に電位差が生じていると考えられます。

窒素を吹き入れた方は、酸素濃度Paが低いので、負極となり、正極との間に電位差
・ ΔE[V] =(RT/2F)・ln(Pa/Pb)  ネルンストの公式
が生じます。ここでFはファラデー定数(1molの電子の電荷量)、Rは気体定数、Tは絶対温度、lnは自然対数です。濃度が100倍異なれば、電位差は4.6倍(=ln(100))となります。電位差を見積もると
・RT/2F=8.314[J/Kmol]×300K/2・96485[C/mol]=0.012925[J/C]=12.9mV
・ΔE=12.9[mV]*ln(100)=12.9×4.6=59.3≒60mV
となります。


水道管の錆の場合
一般に水道管の錆は酸素濃度差で生じます。水道管に錆こぶができると、錆こぶの下の鋼材への酸素の供給が少なくなります。錆こぶの下を負極、水道管表面を正極とする腐食電池が形成され、負極の腐食が進行します。なぜなら負極は電子を正極に奪われるので、負極からFe2+イオンが生じ、やがてFe2+イオンは2OHと反応して錆となるからです。負極面積は正極面積より小さいので、負極の腐植は速く進行します。
腐食の原因は水中に溶けている酸素ですが、腐食が進行するのは酸素濃度が小さい所なのです。なぜなら腐食する部分はFe2+と電子を出し、電子を受け取った酸素はOHイオン電流となるからです。

腐食とはどんな現象でしょうか?

腐食とは金属が溶け出して酸化する現象です。ここでは湿式腐食の話をしましょう。湿式腐食には全面腐食と局部腐食があります。全面腐食には均一腐食と不均一腐食があります。局部腐食には、孔食、隙間腐食、異種金属接触腐食、応力腐食割れなどがあります。日本の腐食対策費は毎年少なくとも5兆円を超えており、腐食・防食に関する正しい知識を持つことは、安全性向上と経費削減につながります。
異種金属接触腐食の場合
例えば水中に鉄板と銅板を入れて、電線で結ぶと、鉄板が腐食します。鉄は銅よりイオン化しやすいから(あるいは鉄のフェルミ面が銅より高いから)、電子が鉄から銅に流れます。電位差は100mV程度です。電子を失った鉄はFe2+イオンとなって溶出します。陰極では
・2Fe → 2Fe2++4e
となり、陽極では
・2H2O+O2+4e→ 4OH
なる反応が生じます。OH-イオン電流は陽極から陰極に流れ、
・ 2Fe2++4OH→ Fe(OH)2
水酸化鉄の錆(さび)が形成されます。さらに酸化されると Fe(OH)3を経て、赤錆Fe2O3になります。酸素が足りなければ黒錆Fe3O4になります。鉄よりイオン化傾向の高いアルミを銅の代わりに用いると、鉄板を防食できます。

ルミノ-ル反応とはどんな反応でしょうか?

刑事ドラマの「科捜研の女」を見ると、犯行現場の血痕を見つけるのに、ルミノ-ル反応が用いられています。ルミノール反応は、銅、鉄、血痕の検出に使用されています。金属イオン錯体やペルオキシダ-ゼが触媒となり、青白色の蛍光を示します。


ルミノ-ルはアミノ・フタル・ヒドラジドの粉末で、水には溶けないので、炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムの水溶液に溶かします。ルミノ-ル粉末と水酸化ナトリウム水溶液と過酸化水素を水に溶かし、ルミノ-ル試薬溶液をつくります。血痕にルミノ-ル試薬溶液を噴霧すると、暗がりで血痕から青色蛍光(波長460nm)が観測されます。血痕のヘム鉄が過酸化水素を分解するのでルミノ-ル反応が始まります。
反応機構は諸説ありますが、ジアザキノン中間体を経て、励起一重項3-アミノフタル酸ジアニオンに変化し、これが基底状態に戻るときに紫青色に発光すると考えられています。


過酸化ナトリウム(Sodium peroxide)Na2O2粉末を使えば、過酸化水素は不要です。 Na2O2粉末は水と激しく反応し、
・ Na2O2 + 2 H2O ⟶ 2 NaOH +  H2O2
に分解するからです。水500mlに対しルミノール粉末0.5g、Na2O2粉末2.5gを溶かすとルミノ-ル試薬溶液ができます。和光純薬で1キット6500円で販売されています。ルミノ-ル試薬はアルミホイルに包んで冷蔵庫に1週間程度保存できます。様々なルミノール誘導体も開発されています。


ルミノール反応による血液鑑定はあくまでも、予備試験にしか過ぎません。発光時間も1分ぐらいだと思います。ルミノール検査後、DNA鑑定で本当に人間の血液であるかを鑑定しなければなりません。血液の成分を分解する酵素入りの洗剤を使うと、血痕の付着した衣類を洗濯すると、DNA鑑定ができなくなります。


大根に含まれるペルオキシダーゼ(peroxidase)という酵素は過酸化水素を分解するのでルミノ-ル試薬に反応します。上記のドラマには、掃除のエキスパ-トがカ-ペットに付着した血痕を拭きとった後、大根おろしの汁を付けて、捜査をかく乱するケ-スがありました。

ケミカルライトはどうして光るのでしょうか?

5月25日に近所の文化センターで山梨県立西高校の吹奏楽部の発表会に参加しました。3年生は最後の発表会です。6月からは受験勉強をするからなのでしょうね。そのとき主催者は観客に長さ20cmのケミカルライトを配りました。よくお祭りで子どもがもっている棒状の蛍光発光体です。ケミカルライトでお別れのム-ドが演出されました。


 ケミカルライトはサイリウム(Cyalume)とも呼ばれます。棒状のプラスチック容器の中にガラス製のアンプルがあります。容器を折ると、アンプルが割れて、内外の溶液が混じり合い反応して発光します。発光には二酸化炭素の二量体が使われています。
 反応する物質は、ジフェニル・シュウ酸C14H10O4(Diphenyl Oxalate)と過酸化水素です。触媒にサリチル酸ナトリウムが入っています。反応すると、ジオキセタンジオン(CO2の二量体)と2分子のフェノ-ルが生成します。 ちなみにジフェニル・シュウ酸は、ジメチルシュウ酸(Dimethyl Oxalate)にフェノ-ルを反応させて作ります。


 発光物質は色々な色を出せる蛍光色素です。ジオキセタンジオンが蛍光色素を励起します。ジオキセタンジオンは1μ秒で開裂し2分子のCO2になります。開裂エネルギで蛍光分子が励起され、基底状態に遷移するときに蛍光を発します。反応時には発熱しません。発光効率は15%くらいだそうです。


 青色色素には9,10ジフェニル・アントラセン、赤色にはルブレンやロ-ダミンB、緑色には9,10ビス・アントラセン、黄色にはアントラセン、橙色にはナフタレンやド-ダミン6Eなどが用いられます。1本70円くらいです。
 プラスチック容器が破断すると、有害なフェノ-ルとガラス破片が飛び散るので、完全に安全とは言えません。サイリウムはより安全なLEDライトに置き換えられてしまうかもしれません。
シュウ酸(COOH)2(Oxalic acid)は常温で白色の固体です。ほうれん草に含まれているので、ご存知の方も多いでしょう。シュウ酸は1776年にカ-ル・ウイルヘル・シュ-レにより、カタバミ(Oxalis)から初めて単離されました。とろろ芋が肌に着くと痒みを生じるのは、シュウ酸カルシウムの針状結晶が肌に刺激を与えるためです。とろろ芋とケミカルライトはこんなところで繋がっていたのですね。

消臭除菌スプレ-は安全なのでしょうか?

除菌ではなく、消臭殺菌スプレ-なので安全であるとは言い切れません。例えばP&G社の除菌スプレ-『ファブリーズ』には第四級アンモニウム塩Quatが使用されています。これは逆性石鹸を使った殺菌剤です。消臭成分としては、「トウモロコシ由来消臭成分」と書かれていますが、これはβ-シクロデキストリンだと思います。

部屋で噴霧するということは経口摂取の安全性を確認しなければなりません。2010年に東京都健康安全研究センターは、マウスの新生仔と成獣にQuatを21日間連続して経口投与したところ、新生仔ではオス、メスともに有意な死亡率の増加が見られたと報告しています。

2018年11月18日には、殺菌成分Quatによって、マウスで妊娠率や生まれる胎仔数の減少、精子濃度や運動性が減少したという研究が米国で発表され、環境団体が警告を発表しています。大学の実験室の洗浄剤をQuatに変えて以降、実験動物の流産が増えたそうです。

 家庭内では、逆性石鹸を使って、神経質に消毒しなくてもいいように思います。

逆性石鹸にはどうして殺菌力があるのでしょうか?

石鹸は除菌力がありますが、逆性石鹸は殺菌力があります。

1935年にG. Domagk博士が第4級アンモニウム塩に殺菌作用があることを発見しました。但し逆性石鹸の殺菌力はグラム陽性・陰性細菌や一部のカビには有効ですが、結核菌(抗酸菌)やウイルスには無効です。結核菌に対しては、両性界面活性剤(塩酸アルキル・ポリアミノ・エチル・グリシン)が有効です。SARSコロナウイルスは中性洗剤で殺菌できます。

 なぜ陽イオン界面活性剤には殺菌作用があるのでしょう。その詳細はまだよく分かっていないようですが、いくつか仮説があります。陽イオン性界面活性剤は、

・マイナスの電荷を持つ細菌表面への吸着速度が速い

・細胞膜の流動性が増して、破裂しやすくなる

・細胞膜タンパク質を変性させて、酵素機能を失活させる

といった効果で殺菌すると考えられています。アルキル側鎖RがC12H25の塩化ベンザルコニウムが最も殺菌作用が強いと言われています。第四級アンモニウムのカチオンは常に帯電していて、溶液のpHに左右されません。

 普通石鹸と逆性石鹸を混ぜると、会合して両者ともに界面活性を失います。

例えばシャンプー(普通石鹸)とリンス(逆性石鹸)を混ぜたり、手洗い用の石鹸と消毒用の逆性石鹸を混ぜると、充分な効果は得られなくなります。逆性石鹸を用いるときは、まず普通石鹸で汚れを十分に落とした後、水で普通石鹸を十分に洗い流してから、逆性石鹸を使うのが効果的です。逆性石鹸に先ほど述べた非イオン性界面活性剤を配合すれば、殺菌と洗浄が同時にできます。

しかしながら、家庭生活で手を消毒しなければならないことは、あまりないように思います。まな板も中性洗剤で洗って干しておけばいいでしょう。こうした殺菌技術は衛生管理が必要な病院で実施すればいいことではないかなと思います。

逆性石鹸とは何でしょうか?

逆性石鹸は、高級アミンの塩からなる界面活性剤であり、殺菌剤や柔軟剤、リンスの成分として利用されるものです。4級のアルキル・トリメチル・アンモニウム塩

  • CH3(CH2)nN(CH33Cl

や塩化ベンザルコニウム(ベンジル・ドデシル・ジメチル・アンモニウム・クロライド、通称BDDAC、ベンゼン環あり)

・ C₆H₅CH₂N⁺(CH₃)₂R•Cl⁻  (R = C8H17 ~ C18H37、長鎖アルキル)

は逆性石鹸です。塩化ベンザルコニウムはオスバン、ヂアミトールなどの商品名で知られています。アルコールと異なり、逆性石鹸は無臭です。アルコールはゴムを傷めますが、逆性石鹸はゴムを傷めません。

逆性石鹸は、界面活性作用は弱く、洗浄力は劣ります。しかし衣類や頭髪に吸着することで、空気中の水分が保持されやすくなり、柔軟性を与えることから、衣類の柔軟剤や頭髪用リンスなどとして利用されています。 また陽イオン界面活性剤自体も生分解性のよいエステル型ジアルキルアンモニウム塩が使用されるようになっています。

柔軟剤を使用すると、繊維同士の滑りがよくなるので、重ね着をしても摩擦が起きにくくなり、静電気の発生を抑えられます。ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は、柔軟剤の香りが残りやすい繊維です。ある調査では6割の人が毎回の洗濯で柔軟剤を使っていると回答しています。

注意すべきことは、柔軟剤は洗濯のすすぎの後に投入することです。洗剤と同じタイミングで入れると、両者の効果が打ち消しあってしまいます。洗濯機では通常洗剤と柔軟剤を入れる場所は異なっています。また他人が柔軟剤の匂いを不快に感じる場合もあります。使用者が製品の匂いに慣れ鈍感になることで使用量が増えると問題が生じます。また薄着の方が長生きするとも言われています。

界面活性剤にはどんなものがありますか?

界面活性剤は4種類あります。石鹸のような陰イオン系、逆性石鹸のような陽イオン系、両性系、非イオン系の4種類です。

両性系界面活性剤には、アミノ酸系洗剤

  • CH3(CH2)nCH(NH3+)COO

があります。洗浄力は弱いですが、弱酸性で髪に優しい利点があります。

非イオン系界面活性剤には、ポリオキシ・エチレン・アルキル・エ-テル

  • CH3(CH2)nO(CH2CH2O)mH

があります。非イオン系洗剤は、油汚れを落としやすく、乳化、分散、浸透に優れています。衣料用洗剤や乳化剤として用いられています。シャンプ-としては目にしみにくい利点があります。

ノニオン界面活性剤はイオン化しないので、酸やアルカリの影響、硬水や軟水の違いによる影響を受け難いです。他の界面活性剤と併用できる、タンパク質を変性させにくいといった利点があります。

合成洗剤が河川の富栄養化につながると言われたのはどうしてでしょうか?

合成洗剤CH3(CH211OSO3Na自体にはリンが入っていません。河川の富栄養化は、水を軟水化させるために投入したトリポリリン酸ナトリウムSTPP(=Sodium TriPolyPhosphate)

  • Na [PO(ONa)O]3ONa+ (Na5P3O10

などのリン酸塩によるものです。STTPは酸素原子を共有して結合した四面体 PO4(リン酸)構造単位からなるポリマーのオキソ酸です。生体エネルギを担うATPにも同様の構造が見られます。STTPは水中でNaを放出し、Caを吸収することで、合成洗剤がCa塩を作るのを防止します。

STTPは白い粉で、粉末洗剤の吸湿固化を防止し、製造時の生産性を向上する効果もあります。日本の洗濯用粉末洗剤には製品中に30%程度、欧米では50%程度配合されていたそうです。1980年頃から、洗剤の軟水剤はSTPPからゼオライト(アルミノケイ酸ナトリウム)に切り替えられました。洗剤の洗浄力強化のために、プロアテ-ゼやリパ-ゼが添加されるようになりました。

現在ではSTPPはエビやホタテの鮮度を保つための防腐剤として用いられています。シーフードの重量が増すことは販売者に利点があります。

石鹸しかないときには、どうやって髪を洗ったらいいでしょうか?

キャンプにいくと石鹸しかないときがあります。石鹸で髪を洗うと、髪がごわついてしまいます。それは髪の表面に石鹸カスが付着するからです。水道水中のCaが石鹸の脂肪酸と結合して難溶性の石鹸カスができるからです。水道水がCaの少ない軟水であれば、石鹸カスは少なくなります。石鹸はアルカリ性なので、髪を覆うキューティクルが開いてしまうのも、きしみの原因になります。石鹸で髪を洗った後に、お酢やクエン酸でリンスすると、石鹸カスが脂肪酸に変化してすっきりします。弱酸性になるとキューティクルが閉じて、指通りもよくなります。

石鹸と合成洗剤はどう違うのでしょうか?

石鹸の分子は、CH3(CH2)nCOONaという構造をしています。CH3(CH2)nが疎水性、COOが親水性です。石鹸は陰イオン系界面活性剤(surfactant)です。水に溶かすと、

  • CH3(CH2)nCOONa + H2O → CH3(CH2)nCOOH + Na + OH

となるので、アルカリ性であることが分かります。アルカリ度はPH10程度です。石鹸は弱酸に強アルカリ(NaOH)を加えて作るので、弱アルカリになるのです。油汚れは弱酸性なので、弱アルカリ性の石鹸を使うと油汚れが落ちます。石鹸は硬水や海水では、Ca2+やMg2+と塩を形成して沈殿するので、洗浄力が低下します。

 それでは合成洗剤はどうでしょうか?

台所用の合成洗剤といえば、ラウリル硫酸ナトリウム(Sodium Lauryl Sulfate)です。これは、CH3(CH211OSO3Naという構造をしています。合成洗剤も陰イオン系界面活性剤です。それならば合成洗剤を水に溶かすとアルカリ性になるのでしょうか?

  • CH3(CH211OSO3Na+ + H2O → CH3(CH211OSO3-  +Na+ + H2O

となるので、合成洗剤は中性です。中性だから食器洗いで手が荒れないというのが利点だったのですね。合成洗剤はR-OHにH2SO4を加えて硫酸水素ドデシルにしてNaOHで中和して作製します。合成洗剤は強酸と強塩基の塩であるために、加水分解しないので、中性なのです。中性である合成洗剤は、Ca2+やMg2+と塩を形成する力が弱いので、硬水や海水中でも石鹸より洗浄力を発揮します。

もう一つ有名な合成洗剤がABS(=Alkyl Benzene Sulfonate)洗剤です。これはR-C6H4-SO3Naという構造をしています。Rはアルキル基、C6H4はベンゼン環です。ABSは硬水や酸に対しても安定で,界面活性能力・洗浄力が大きいため1960年代から合成洗剤の主流になりました。しかし側鎖アルキル基が分枝構造であるため廃水中で生分解されず残留し、土壌菌を殺したりするので問題になりました。1965年以降は、アルキル基が直鎖構造の生分解性ABS洗剤が用いられるようになりました。

 合成洗剤をタンパク質に加えると、タンパク質は折り畳み構造が解けて棒状になるという面白い性質があります。合成洗剤は、タンパク質の立体構造の影響を避けるために電気泳動実験に用いられます。

エゴマ油はどうして注目されているのでしょうか?

DHAは脳や網膜のリン脂質に含まれる脂肪酸の主要な成分です。エゴマ油にはDHAを合成するのに必要なα-リノレン酸が58%も含まれているからです。ヒトを含めた多くの動物は体内でα-リノレン酸を原料として10-15%の割合でEPAやDHAを生産することができます。妊娠・出産期にはω-3脂肪酸が枯渇しやすく、産後のうつ病に関与していると言われています。

つまりヒトは脳や網膜を維持するために、DHAあるいはα-リノレン酸を摂取しなければなりません。DHAは青魚の脂に含まれています。α-リノレン酸の場合、1日あたり2g必要です。ホウレンソウに換算すると1日1.4kgに相当します。α-リノレン酸は、大豆油(7%)、キャノ-ラ(アブラナ)油(9%)、エゴマ(58%)、アマ(55%)に含まれています。

コ-ン油、ゴマ油、ヒマワリ油、オリ-ブ油などは、ω6脂肪酸であるリノ-ル酸(18:2)を多く含み、α-リノレン酸を含みません。リノ-ル酸は、6位と9位に二重結合をもちます。α-リノレン酸はω3位にも二重結合を有する脂肪酸です。Δ15-脂肪酸デサチュラーゼはω3位に二重結合を作る酵素です。植物や微生物は、Δ15-脂肪酸デサチュラーゼがあるので、リノール酸からα-リノレン酸を合成できます。しかしヒトを含めた動物はΔ15-脂肪酸デサチュラーゼがないので、リノール酸からα-リノレン酸を合成できないのです。

エゴマ油は、高齢化社会で需要がある高価な油です。エゴマは耕作放棄地でも栽培可能な一年草なので、村おこしにいいと思います。但し種の洗浄に手間がかかります。

DHAとは何でしょうか?

DHAはドコサヘキサエン酸(Docosa-Hexa-enoic Acid)の略語です。ギリシャ語でDocosaは22、Hexaは6を意味します。DHAは6つの二重結合を含む22個の炭素鎖をもつカルボン酸 (22:6)です。

DHA(C12H32O6)はCH3CH2(CH=CHCH2)6CH2COOHという分子構造(328g/mol)をしています。DHAは、COOHから数えて、4、7、10、13、16、19 番目の炭素に全てシス型の二重結合をもちます。一方、生理学者はCH3から数えます。CH3から数えて3番目に二重結合をもつので、ω3脂肪酸に分類されます。

EPAはエイコサペンタエン酸(Eicosa-Penta-enoic Acid) の略語です。ギリシャ語でEicosaは20、Pentaは5を意味します。EPAは5つの二重結合を含む20個の炭素鎖をもつカルボン酸 (20:5)です。

EPA(C20H30O2)は CH3CH2(CH=CHCH2)5(CH2)2COOHという分子構造(302g/mol)をしています。EPAは、COOHから数えて、5、8、11、14、17 番目の炭素に全てシス型の二重結合をもちます。同じくCH3から数えて3番目に二重結合をもつので、ω3脂肪酸に分類されます。

これらの脂肪酸は脳や網膜に多く含まれています。DHAやEPAは、リノレン酸(18:3)系列のω3必須脂肪酸です。さば、まぐろ、さんま、いわしなどの青魚やアザラシの脂に含まれています。

EPAには血小板の凝集作用があるトロンボキサンA3と血小板の凝集抑制作用があるプロスタサイクリンI3を作り出す作用があります。医学的には、抗血栓作用、血中脂質低下作用、血圧降下作用などが認められています。生理活性の強いω6系統と同じ酵素を使うので、免疫や凝血反応、炎症などにおいてω6系統のアラギドン酸が引き起こす過剰な反応を抑える効果があります。DHAやEPAはエパデール(持田製薬)やロトリガ(武田薬品工業)などの高脂血症治療薬などとして用いられています。

科学者でもギリシャ語の10以上の数字を読める人は少ないです。例えば14はtetra-deacaですが、40はtetra-conta、400はtetra-cta、4000はtetra-liaです。ちなみに11はundeca、21はhenicosaといいます。

神経細胞の脂肪酸膜にDHAが用いられている理由

神経細胞は突起を伸ばした複雑な構造をしているので、柔軟な細胞膜が必要です。細胞膜に二重結合が多い脂肪酸が含まれると、脂肪酸間の相互作用が小さくなるので、膜タンパク質の流動性が高まり、細胞膜が柔らかくなります。血中のEPAは脳関門を通過できませんが、DHAは通過できるので、脳細胞にはDHAが含まれます。

黒い津波 知られざる実情 NHKスペシャル

2011年3月11日午後3時に東北地方を襲った津波は黒かったと報告されています。今年3月にNHK取材班は、黒い津波に関する調査を追跡報告しました。黒い津波の原因は、湾内に入り勢いを増した津波が、数mの深さ堆積したヘドロを削り取ったためです。ヘドロ粒子のサイズは数μmと細かく、汚水の密度は海水より10%以上大きいことが分かりました。

中央大学の有川太郎教授は、黒い津波が建物に与える衝撃力を調べました。密度が10%高くなるだけで、衝撃力は海水の2倍以上(556kg重/m2)ありました。汚水は粘性が高いために、海底付近の速度が小さくなり、盛り上がって建物に衝突するからです。汚水は浮力が大きいため、通常2mの浸水で木造家屋は浮きますが、汚水の場合は1mの浸水で家が浮き上がってしまいます。汚水の場合、ひざ下の深さで人は立っていられなくなります。飲み込まれると、ヘドロで窒息死します。津波の後には街がヘドロの粉末で覆われ、舞い上がった粉末は肺炎を引き起こします。

流体力学の専門家は数多くいますが、汚水力学の専門家は殆どいません。今後は早急に、建築基準の見直しなど、汚泥を含んだ津波の対策を立てていかなくてはなりません。