ケミカルライトはどうして光るのでしょうか?

5月25日に近所の文化センターで山梨県立西高校の吹奏楽部の発表会に参加しました。3年生は最後の発表会です。6月からは受験勉強をするからなのでしょうね。そのとき主催者は観客に長さ20cmのケミカルライトを配りました。よくお祭りで子どもがもっている棒状の蛍光発光体です。ケミカルライトでお別れのム-ドが演出されました。


 ケミカルライトはサイリウム(Cyalume)とも呼ばれます。棒状のプラスチック容器の中にガラス製のアンプルがあります。容器を折ると、アンプルが割れて、内外の溶液が混じり合い反応して発光します。発光には二酸化炭素の二量体が使われています。
 反応する物質は、ジフェニル・シュウ酸C14H10O4(Diphenyl Oxalate)と過酸化水素です。触媒にサリチル酸ナトリウムが入っています。反応すると、ジオキセタンジオン(CO2の二量体)と2分子のフェノ-ルが生成します。 ちなみにジフェニル・シュウ酸は、ジメチルシュウ酸(Dimethyl Oxalate)にフェノ-ルを反応させて作ります。


 発光物質は色々な色を出せる蛍光色素です。ジオキセタンジオンが蛍光色素を励起します。ジオキセタンジオンは1μ秒で開裂し2分子のCO2になります。開裂エネルギで蛍光分子が励起され、基底状態に遷移するときに蛍光を発します。反応時には発熱しません。発光効率は15%くらいだそうです。


 青色色素には9,10ジフェニル・アントラセン、赤色にはルブレンやロ-ダミンB、緑色には9,10ビス・アントラセン、黄色にはアントラセン、橙色にはナフタレンやド-ダミン6Eなどが用いられます。1本70円くらいです。
 プラスチック容器が破断すると、有害なフェノ-ルとガラス破片が飛び散るので、完全に安全とは言えません。サイリウムはより安全なLEDライトに置き換えられてしまうかもしれません。
シュウ酸(COOH)2(Oxalic acid)は常温で白色の固体です。ほうれん草に含まれているので、ご存知の方も多いでしょう。シュウ酸は1776年にカ-ル・ウイルヘル・シュ-レにより、カタバミ(Oxalis)から初めて単離されました。とろろ芋が肌に着くと痒みを生じるのは、シュウ酸カルシウムの針状結晶が肌に刺激を与えるためです。とろろ芋とケミカルライトはこんなところで繋がっていたのですね。

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