テ-タ関数の変換公式の証明

  <テータ関数の変換公式>

s>0のとき

 θ(s)=Σn=-∞~∞ exp(-πsn2)

に対して、

 θ(1/s)=√s・θ(s)

が成り立つ。

[証明] 関数f(t)を

 f(t)=exp(-πst2)

とおくと、

 θ(n)=Σn=-∞~∞ f(n)

である。f(t)のフーリエ変換をF(m)とすると

 F(m)=∫[-∞、∞] exp(-πst2)e-i2πmt dt

である。これをmで一回微分すると

 d F(m)/dm=∫[-∞、∞] exp(-πst2) (-i2πt)e-i2πmt dt

       =i/s・∫[-∞、∞] (-2πst)exp(-πst2) e-i2πmt dt

                    =i/s・∫[-∞、∞] (d/dt)exp(-πst2) e-i2πmt dt

                  =i/s・[exp(-πst2) e-i2πmt]t=-∞、∞-i/s∫[-∞、∞] exp(-πst2) (-i2πm) e-i2πmt dt

       =-2πm/s・∫[-∞、∞] exp(-πst2) e-i2πmt dt

       =-2πm/s・F(m)

となる。微分方程式を解くと

 [logF(m)]’=F’(m)/ F(m)=-2πm/s
    logF(m)=-πm2/s

を解いて、
   F(m)=F(0)exp(-πm2/s)

が得られる。

 F(0)=∫[-∞、∞] exp(-πst2) dt

ここで、u=√(πs)・t と置くと

 F(0)=1/√(πs)∫[-∞、∞] exp(-u2) du

   =1/√(πs)・√π =1/√s

従って、フ-リエ変換後の関数は

  F(m)=1/√s ・exp(-πm2/s)

となる。ここで

f(t)=exp(-πst2) は[-∞、∞]区間上の連続関数であるから、Poissonの和公式より

 Σn f(n)=Σn F(n)

すなわち

 Σn exp(-πsn2)=Σn 1/√s ・exp(-πn2/s)

が成り立つ。いま、θ(s)=Σn=-∞~∞ exp(-πsn2) より

 θ(s)=1/√s ・θ(1/s)

が成り立つことが示された。

 

[補題] 正の実数xに対して、

 Σn exp[-π(n+α)2/x]=√x Σn exp[-πn2x+ i2πnα]

が成り立つ。

・α=0を代入すると、θ(1/x)=√x ・θ(x) が成り立つ。

[証明] 

  fαx(y)=exp[-π(y+α)2/x]

とおいて、

  Σn fαx(y)=√x Σn exp[-πn2x+ i2πnα]

を示す。Poissonの和公式より

 Σn fαx(n)=Σn [-∞、∞] fαx(y) e-i2πny dy

=Σn [-∞、∞] exp[-π(y+α)2/x] e-i2πny dy

ここで、y+α=xuとおくと、

  Σn fαx(n)=Σn [-∞、∞] exp[-πxu2] e-i2πn(xu-α) dy

                 =Σn ei2πnα[-∞、∞] exp[-πxu2] e-i2πnxu xdu

ここで

    -πxu2-i2πnxu=-πx(u2+i2nu)=-πx(u+in) 2-πxn 2

であるから、

     Σn fαx(n)=xΣn ei2πnαexp[-πxn 2]∫[-∞、∞] exp[-πx(u+in)2] du  

       =xΣn ei2πnαexp[-πxn 2]・limN→∞ I(N)

ここで
    I(N)=∫[-N、N] exp[-πx(u+in)2] du=∫A exp[-πx(u+in)2] du  

とした。この積分の経路は複素平面で、

  A:z=u+in(-N≦u≦N)

である。コーシ-の定理より、非積分関数は正則関数なので、経路A上の複素積分を以下のB→C→Dに変えることができる。

   I(N)=∫B→C→D exp[-πx(z)2] dz  

において

 B:z=-N+it、0≦t≦n

 C:z=t、-N≦t≦N

 D:z=N+it、0≦t≦n

経路Bでの積分は

 IB(N)=∫[n、0] exp[-πx(-N+it)2] dt  

          =-exp[-πxN2]∫[0、n] exp[(1-it/N)2] dt 

ここでt’=t/N とおくと、

  IB(N)=∫[0、n] exp[(1-it/N)2] dt

       =1/N・∫[0、n/N] exp[(1-it’)2] dt’ → 0 as N→∞

となり、N→∞での積分値はゼロになる。

同様に経路Dでの積分は

   ID(N)=∫[0、N] exp[-πx(N+it)2] dt

          =1/N・∫[0、n/N] exp[(1+it’)2] dt’ → 0 as N→∞

となり、N→∞での積分値はゼロになる。経路Cでの積分は

   IC(N)=∫[-N、N] exp[-πxt2] dt  

   =1/√(πx) ・∫[-N、N] exp[-t2] dt → √π/√(πx)=1/√x as N→∞

となり、N→∞での積分値は1/√xとなる。

従って

 limN→∞ I(N)=limN→∞{IB(N)+IC(N)+ID(N)}=1/√x 

を得る。結局

  Σn fαx(n)=x Σn ei2πnαexp[-πxn 2]・limN→∞ I(N)

    =x Σn ei2πnαexp[-πxn 2] 1/√x
              =√x・Σn exp[-πxn 2+i2πnα]

が成り立つことが示された。

2件のコメント

  1. はじめまして
    数学が苦手で嫌いな日曜物理学者です。
    最近、リーマン予想を知りたくてネットサーフィンしてたどりつきました。
    ゼータ関数は統計物理や量子物理で使うのですが、もっぱら公式に頼っていました。
    ところが、最近NHKでモンゴメリー予想の式が量子物理にあるFermiの黄金律の式にそっくりだと知り、驚きました。これは私の研究テーマに沿った内容なので勉強を始めたのですが、関数等式で躓いていました。貴ブログはすき間なく丁寧でわかりやすく大変部強になりました。ありがとうございました。
    ところで、私の目標は難解な数学を避け、いかにも物理という(雑な)計算で現象論的にリーマン予想の証明を目指しています。既にある程度うまくいってます。ただし、突っ込みどころ満載ですが、物理学からのアプローチとしては十分ではないかと思っています。ただ、素数と零点は対応していますが全ての素数が零点と対応しているわけでもなく、また2つの素数が1つの零点と対応していたり例外がありそうです。またモンゴメリー予想に似たシンク関数も導出しましたが、その幅は素数間の幅だけでなく全ての自然数の幅にも対応しています。
    量子論では不確定性原理がありますが、これはFourier展開やシンク関数とつながっており、リーマン予想に伴う数の揺らぎとつながっているようです。

    1. はじめまして
      私のブログを読んでくれてありがとうございます。ゼータ関数はカシミア効果や超弦理論に出てきて理解が難しいですね。しかし一部の物理学者が避けて通れない教養になっています。これからもよろしくお願いします。

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