逆性石鹸にはどうして殺菌力があるのでしょうか?

石鹸は除菌力がありますが、逆性石鹸は殺菌力があります。

1935年にG. Domagk博士が第4級アンモニウム塩に殺菌作用があることを発見しました。但し逆性石鹸の殺菌力はグラム陽性・陰性細菌や一部のカビには有効ですが、結核菌(抗酸菌)やウイルスには無効です。結核菌に対しては、両性界面活性剤(塩酸アルキル・ポリアミノ・エチル・グリシン)が有効です。SARSコロナウイルスは中性洗剤で殺菌できます。

 なぜ陽イオン界面活性剤には殺菌作用があるのでしょう。その詳細はまだよく分かっていないようですが、いくつか仮説があります。陽イオン性界面活性剤は、

・マイナスの電荷を持つ細菌表面への吸着速度が速い

・細胞膜の流動性が増して、破裂しやすくなる

・細胞膜タンパク質を変性させて、酵素機能を失活させる

といった効果で殺菌すると考えられています。アルキル側鎖RがC12H25の塩化ベンザルコニウムが最も殺菌作用が強いと言われています。第四級アンモニウムのカチオンは常に帯電していて、溶液のpHに左右されません。

 普通石鹸と逆性石鹸を混ぜると、会合して両者ともに界面活性を失います。

例えばシャンプー(普通石鹸)とリンス(逆性石鹸)を混ぜたり、手洗い用の石鹸と消毒用の逆性石鹸を混ぜると、充分な効果は得られなくなります。逆性石鹸を用いるときは、まず普通石鹸で汚れを十分に落とした後、水で普通石鹸を十分に洗い流してから、逆性石鹸を使うのが効果的です。逆性石鹸に先ほど述べた非イオン性界面活性剤を配合すれば、殺菌と洗浄が同時にできます。

しかしながら、家庭生活で手を消毒しなければならないことは、あまりないように思います。まな板も中性洗剤で洗って干しておけばいいでしょう。こうした殺菌技術は衛生管理が必要な病院で実施すればいいことではないかなと思います。

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