ミトコンドリアに雄性不稔の遺伝子が存在するのは何故でしょうか? 

自分の花粉であろうと他の花粉であろうと、種さえできればミトコンドリアの遺伝子は確実に種に受け継がれていきます。雄蕊(おしべ)がなくても他の植物の花粉が雌蕊(めしべ)に付着すれば種はできます。ATPを生産するミトコンドリアには雄蕊をつくることは大きな負荷なのです。それより種子を多くつくる方がミトコンドリアの遺伝子を多く残せます。ミトコンドリアは元来別の生物であり、増殖する意思が強いため、ミトコンドリアは雄性不稔の遺伝子を作り上げたと考えられます。雄性不稔の遺伝子は、ATP合成の遺伝子に隣接しており、雄蕊をつくるときに、ATP合成を阻害するので、雄蕊が正常にできなくなります。
ところが他から花粉が得られない場合には、雄性不稔種は絶滅してしまいます。植物は核内の花粉形成の回復遺伝子によって我儘なミトコンドリアの雄性不稔の遺伝子が働かないように抑制しているのです。

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