F1種にはどのような問題があるでしょうか?

F1種には3つの大きな問題があります。

第一の問題は、F1種は、気候変動や病害虫の発生により、全滅する危険性が高いことです。年々強くなる病害虫に対応するために、農薬の使用量が増える傾向があります。これに引替え在来種は多様性があり、気候変動や病害虫に強い種が必ずあります。在来種の多様性が失われると、全滅の危険性はさらに高まります。


第二の問題は、交配二代目以降は形も大きさも不揃いになるので、農家は毎年F1種の種を買わなくてはならず、その結果、作物の種子の多様性が失われることです。これまで農家は栽培した一部の作物から自家採種してきました。しかし自家採種には専用の畑が必要で、種の採取や管理に手間がかかります。農家がF1種の種を購入するようになって、自家採種する農家は激減しました。つまりF1種の出現により、農家がこれまで栽培してきた在来種の種類が激減することが危惧されています。種は保管期間が長くなると発芽率が低下します。種を維持するには3年以内に更新しなければなりません。農家が自家採種しないと、気候変動や病害虫に強い在来種は消滅してしまうのです。


第三の問題は、安全な野菜が食べられなくなる可能性があることです。日本にはサカタとタキイの2大種苗会社がありますが、世界全体の2%程度の市場占有率しかありません。モンサントなど上位3社の巨大多国籍企業は60%以上のシェアを持っています。交配種時代になって、採種事業が大手企業の独壇場になったのは、品種集めと試験交配という初期投資に、大金が必要だからです。種を制する者は世界を制するため、巨大多国籍企業は小さな種苗会社を次々に買収しています。そうした巨大多国籍企業は、F1作物だけでなく、遺伝子組替えやゲノム編集技術を用いた安全性が不確かな作物を開発しています。除草剤グリホサ-トのように有害物質の濃度基準値が100倍以上に改正されることもあります。あるいは植物自体に組み込まれた殺虫剤成分などの有毒物質は外来性の農薬ではないので、規制基準値すら存在しません。日本の種苗企業が買収された場合には、日本の安全な野菜が食べられなくなる可能性があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。