黒い津波 知られざる実情 NHKスペシャル

2011年3月11日午後3時に東北地方を襲った津波は黒かったと報告されています。今年3月にNHK取材班は、黒い津波に関する調査を追跡報告しました。黒い津波の原因は、湾内に入り勢いを増した津波が、数mの深さ堆積したヘドロを削り取ったためです。ヘドロ粒子のサイズは数μmと細かく、汚水の密度は海水より10%以上大きいことが分かりました。

中央大学の有川太郎教授は、黒い津波が建物に与える衝撃力を調べました。密度が10%高くなるだけで、衝撃力は海水の2倍以上(556kg重/m2)ありました。汚水は粘性が高いために、海底付近の速度が小さくなり、盛り上がって建物に衝突するからです。汚水は浮力が大きいため、通常2mの浸水で木造家屋は浮きますが、汚水の場合は1mの浸水で家が浮き上がってしまいます。汚水の場合、ひざ下の深さで人は立っていられなくなります。飲み込まれると、ヘドロで窒息死します。津波の後には街がヘドロの粉末で覆われ、舞い上がった粉末は肺炎を引き起こします。

流体力学の専門家は数多くいますが、汚水力学の専門家は殆どいません。今後は早急に、建築基準の見直しなど、汚泥を含んだ津波の対策を立てていかなくてはなりません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。