藍染めはどうして青色が落ちないのですか?

藍染めは非水溶性のインジゴで染色されているからです。それでは最初にどうやって綿布を非水溶性のインジゴで染めたのかが気になります。実は、綿布を水溶性のインドキシル液(黄色)に漬けて空気中に取り出すと、インドキシルが酸化されて繊維に青色のインジゴが残留して、染色されます。

タデアイ(タデ科)の葉には、インジカンという配糖体が含まれています。これはインドキシル基がついたグルコ-スです。これをアルカリ性の水溶液中で加水分解すると、インドキシル液になります。藍染できる植物には、インド藍(マメ科)、ウォ-ド(アブラナ科)、琉球藍(キツネノゴマ科)などがありますが、どれも種類が異なります。

旧来の製法では、乾燥させた藍の葉に水を加えて3か月ほど発酵させて「すくも」をつくります。すくもに灰汁と小麦ふすまを加えてさらに一週間発酵させて、インドキシル染色液を作ります。染色と乾燥を15~20回おこなって藍色に染色します。現在ではインジゴはアニリン(フェニルアミン)から合成されています。

 絹はタンパク質なので、マイナスのCOOH基やプラスのNH3基があるので、イオン化した染色液で染めやすいです。しかし植物性繊維のセルロ-スには帯電基がないので、染色力が弱いのです。インジゴで染めたジ-ンズは何回も水洗いすると色落ちしてしまいます。逆にその方が、風合いが深まると思われています。

石徹白洋装店にて

戦争中は、贅沢品の藍は栽培が禁止されていましたが、徳島の人たちが藍染を守ってきたと言われています。藍の葉は食べられます。藍の葉の抗酸化力はブル-ベリ-の5倍と言われています。藍栽培では、殺虫剤や除草剤を撒いていたので、藍畑の土壌は汚染されています。そのため食用の藍は水耕栽培で生産されているようです。徳島では藍を麺などに練りこんで、阿波藍ラ-メンなどとして販売しています。

荀子の勧学には「青は藍より出て、藍より青し」という言葉があります。「藍草から出る青色は、元の藍草の色より青い」という意味です。つまり、弟子も努力すれば、藍のように、師匠を超えることができるかもしれない、という意味だそうです。

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