一時150万円/BTCに迫ったビットコイン価格ですが、7月16日16時現在は115万円前後で推移しています。ビットコインの価格変動が大きい理由には、複数の要因が考えられます。
<ビットコインの価格変動が大きい理由>
(1) ビットコインの市場規模が小さい。
市場参加者が増えて取引量が増えれば、価格変動がだんだん小さくなる可能性があります。株に較べるとビットコインの市場規模はまだ小さいので、市場参加者に機関投資家のようなプロが少ないです。プロの冷静な判断がないので、価格が変動しやすいと考えられます。
2017年12月、米大手先物取引所であるCMEに、ビットコインの商品先物が上場しました。CMEは先物取引で世界最大規模を誇っており、機関投資家などの大口資金が徐々にビットコインに流入しています。
(2) 売買手数料が安く、小規模投資が可能である
株は100万円単位の資金が必要ですが、仮想通貨は100円もしくは500円から購入できます。ビットコインは売買手数料が安く、少ない資金で売買が可能なので、市場参加者に投資経験の少ない人が多いようです。取引所の不始末によるビットコインの紛失事件などが時々起こります。人々は、こうした事件情報にも敏感に反応して、売買を行うので、価格変動が大きくなります。
日本の20〜40代の若者の人口は約4500万人です。米DataLightが取引所トラフィックデータからまとめた調査(4月29日発表)によると、610万人の利用者の9割が40代以下だそうです。つまり若者の10人に1人が仮想通貨の取引経験があることになります。ビットコインは若い人たちの最初の投資経験になりがちです。購入の目的は長期保有(70%)であり、決済手段(19%)や送金手段(13%)は一部に留まっています。
(3) 株のように価格変動幅が決められていない
行き過ぎた価格変動を防ぐため、株価は一日の変動幅が15%以内に決められています。一方ビットコインは、変動幅の制限がなく、需給に応じてどこまでも変動できます。
(4)国家がビットコインを法規制する可能性がある
ビットコインは、国家の保証がない通貨です。日本ではビットコインは電子資産として認められていますが、ロシアのようにビットコインを禁止している国もあります。ある国家がビットコインの取引を禁止すると、市場参入者が減るので、ビットコインの価格は低下します。米ドル決済を嫌って、仮想通貨決済を検討している国もあります。そういう国が増えると、ビットコインの価格は上昇します。
(5)ビットコインには中央管理者がいない
ビットコインのプログラムを修正・改善しようという場合に、意見の相違や混乱が起こる可能性があります。ビットコインの将来に対して悲観的な見方が出てくると、価格が乱高下しやすくなります。
(6)政治的な混乱時の退避先資産に利用される
ビットコインは、自国通貨の下落に対する逃避先として、買われることがあります。ギリシャがEU離脱を試み始めた(Grexit)2013年にビットコインは大きく上昇し、Brexitが決まった2016年にもビットコインは2倍に上昇しました。最近の上昇は、米中貿易摩擦の結果、人民元は対ドルで下落しており、安全資産を求める中国人投資家が資産をビットコインに変えているとの見方があります。従来は退避先資産として、金が一般的でしたが、”デジタルゴールド”として、一時的にビットコインが買われることがあります。