そもそも小石ができる理由が分からない

これまでの惑星形成論では、小石と小石が万有引力で衝突してより大きな石になっていく過程を仮定してきました。しかし小石の形成や集積は自明ではありません。なぜなら小石間の万有引力は極めて小さいからです。確かに塵同士は静電気力で引き合い大きくなりますが、小石は帯電しないので静電気力は働かないのです。私は小石を含む氷塊同士が衝突するなら、圧力融解と氷結により合体する可能性があると思います。しかしそれだけでは太陽に近い惑星の形成を説明できません。

できた小石は太陽に落下してしまう

実はガスは小石より僅かに遅く太陽の周りを回転しています。つまり小石は向かい風を感じているのです。その結果、小石はガス抵抗を受けて速度が小さくなるから、軌道半径が小さくなるように思うかもしれません。しかし実際は、小石の軌道半径が小さくなるとき、速度は大きくなります。小石はガス抵抗のせいで次第に太陽に引き寄せられていきます。たとえ小石が集積するとしても、小石が1mサイズに成長する頃には太陽に落下してしまうのです。これでは惑星はできません。この困難は「メートルの壁」と呼ばれています。

小石の軌道半径が小さくなるとき、小石の速度が大きくなる理由は以下の通りです。中心星の質量をM、その周りを軌道半径aの円運動する小石の質量をmとすると
・  GmM/a^2(重力)= mV^2/a(遠心力)
が成り立つので、小石の速度は
・  V=root(GM/a)
となります。軌道半径aが減少すると、回転速度Vは増大することが分かります。

そのときの小石の全エネルギEを調べてみましょう。Eは
・  E=K(運動エネルギ)+U(ポテンシャルエネルギ)
で与えられます。小石の速度Vを代入すると、運動エネルギは
・  K=1/2・mV^2 = GmM/2a
となり、ポテンシャルエネルギUは
・  U=-GmM/a
ですから、小石の全エネルギEは
・  E=GmM/2a-GmM/a = -GmM/2a
となります。

軌道半径が⊿a(<0)変化すると、
・  ⊿K=-GmM/2a^2・⊿a (=-⊿U/2)>0
・  ⊿U=+GmM/a^2・⊿a <0
ですから、全エネルギ変化⊿Eは
・  ⊿E=⊿K+⊿U=-⊿U/2+⊿U(=⊿U/2)<0
となります。

すこし分かりにくいかもしれませんが、結局、小石がガス抵抗を受け、軌道半径が⊿a(<0)小さくなると、ポテンシャルエネルギは⊿U減少し、運動エネルギは-⊿U/2増加し、エネルギは⊿U/2減少します。減少した小石のエネルギはガスの温度上昇に使われます。

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