小石集積モデルとは?

井田教授らは、小石の生成を仮定した上で、メートルの壁を避けるために、小石集積モデルを検討しています。小石集積モデルは、膨大な数の小石が太陽の周囲を回転しながら徐々に太陽に近づいていく際に渋滞が生じて、小石とガスの密度に濃淡ができるモデルです。実際に系外恒星のガス円盤を観察すると同心円状の模様が観察されます。従来は微惑星の内側と外側の両方から小石が供給されるモデルでした。小石集積モデルでは、小石の密度が高い領域に微惑星が形成されると考え、小石は微惑星の外側から供給されます。小石が微惑星に降り注ぐことで微惑星が原始惑星に成長します。小石集積モデルは、小石同士の合体集積を仮定することなく、微惑星や原始惑星の成長を説明できる点が優れています。現在はそのような小石の渋滞が生じるのかを計算機シミュレ-ションで確かめています。

小石集積モデルの問題点は?
微惑星が原始惑星サイズに成長すると、大気を持つようになります。小石が大気圏に突入すると大気との摩擦で小石が蒸発するために、原始惑星には小石が供給されなくなる問題があります。
小石集積モデルでは原始惑星への成長速度が速いので、多くの原始惑星が残存ガスを吸い込んで成長します。しかし3個以上の巨大ガス惑星が形成されると、それらの軌道不安定性から、内側の巨大ガス惑星が落ち込み、反動で外側の巨大ガス惑星が系外に弾き飛ばされると考えられます。そうしたことが起これば、地球はひとたまりもないので、小石集積モデルは系外惑星を説明できても、太陽系は説明できないかもしれません。

グランドタックモデルは信じられるか?
グランドタックモデルは、ある初期条件の下で、木星が太陽に向かって動き、やがて現在の位置に引き返したというモデルです。このモデルは、火星が小さいことや小惑星帯があることを説明できます。つまり太陽系がある特殊な初期条件を満たしていたら、現在の問題を解決できるということです。井田教授は、「グランドタックモデルは太陽系の考古学だ」と言いました。つまりそのような可能性はあるが、特殊な初期条件を満たす確率は高いとは言えない、と考えているようです。このモデルは太陽系の惑星形成を普遍的な理論で解明する立場とは異なる立場をとっています。惑星形成理論は、普遍性と特殊性の両方を検討しなければならない面白さがあります。

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