ハクジラの超能力エコロケ-ションとは

水中は分子の拡散速度が小さいので臭覚はあまり役に立ちません。深い海中は暗いので視力より聴力が役に立ちます。マッコウクジラなどのハクジラは水中でのエコロケ-ション(反響定位)能力があります。反響定位法とは、音波を発して反響音波を感受して周囲の地形や水温、敵の位置や餌の形状などを見分ける方法です。反響定位を使えば、濁った海水中でも小魚を捕食できます。蝙蝠や魚群探知機や潜水艦ソナ-も反響定位法を使っています。水中の音波は空気中より5倍速く(1500m/s)、何百kmも遠くに伝えることができます。ハクジラはパルス状のクリックス音や甲高いホイッスル音を発して仲間と交信して餌をとります。水族館のイルカは音を使って仲間とタイミングを合わせて曲芸をします。

ハクジラはどうやって音波を発するのでしょうか?

ハクジラは鼻の穴が一つしかなく、頭部にメロン体という脂肪の塊を持っています。メロン体は音波のレンズの働きをします。鼻腔で発生させた音波は、メロン体で屈折収束することで、指向性の高い音波になります。鼻腔が一つしかないのは安定な音波を発生させるためでしょう。音波の受信は、眼の後方にある耳孔ではなく下顎骨を用いています。ここから骨伝導で内耳に伝えられます。耳骨は厚く緻密にできています。ハクジラの頭骨にはメロン体を収める窪みがあり、ACEイベントがあった年代にハクジラはすでにエコロケ-ション能力を獲得していたと考えられています。

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