[7][Ⅳ] θ(x)=O(x) の証明

[Ⅳ] θ(x)=O(x) の証明

チェビシェフのシータ関数:θ(x)=Σ[px] log(p) がオーダ-xであること、すなわち

・ ∃k>0 |θ(x)|≦kx          

を3段階で証明します。

(1)2nlog2≧θ(2n)-θ(n) の証明

2項定理より

22n=(1+1)2n=Σ[k12n] 2nC1k12n-k2nCn=2n・(2n-1)・(2n-2)・・(n+2)・(n+1)/n!

2nCnは自然数なので、分母のn!は約分されて1になります。しかしn+1<p≦2nの素数pはn!の中には存在しないので、約分されずに分子に残ります。右辺はn+1<p≦2nの素数pの積Π[n+1p2n] pより大きくなるので、

・ 22n≧Π[n+1p2n] p

が成り立ちます。一方

・ θ(2n)-θ(n)=Σ[p2n] log(p)-Σ[pn] log(p)=Σ[n+1p2n] log(p)

なので、

・ exp[θ(2n)-θ(n)]=exp[Σ[n+1p2n] log(p)]=Π[n+1p2n] p

です。よって

・ 22n≧exp[θ(2n)-θ(n)] → 2n・log2≧θ(2n)-θ(n)

が成り立ちます。

Eg.  16C8=16・15・14・13・12・11・10・9/8・7・6・5・4・3・2・1

    =2・3・13・11 >11・13(8+1≦11,13≦16)

(2)2+1・log2>θ(2m) の証明

 上式にn=2k1を代入すると、2k・log2≧θ(2k)-θ(2k1)が成り立つ。

k=1: 21・log2≧θ(21)-θ(1) 

k=2: 22・log2≧θ(22)-θ(21)

k=3: 23・log2≧θ(23)-θ(22)

・・・   ・・・・

k=m-1:2m1・log2≧θ(2m1)-θ(2m2)

k=m:  2m・log2≧θ(2m)-θ(2m1)

をすべて加えると、θ(1)=0より

  log2・Σ[k1m] 2k ≧θ(2m)

を得ます。ここで

  Σ[k1m] 2k=2m+1-2<2m+1

だから、

  2m+1 log2>θ(2m)

が示されました。

(3) θ(x) ≦4log2・x

x≧1なる整数xに対して、∃m∊N、2m≦x≦2m+1

θ(x)は非減少関数なので、(2)より

  0≦θ(x) ≦θ(2m+1)<2m+2 log2≦4 log2・2m≦4 log2・x

よって、K=4 log2とおくと

  θ(x) ≦Kx、 → θ(x)=O(x)

が示されました。

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