[4][Ⅰ]リーマンのゼータ関数について

リ-マンのゼータ関数ζ(s)は、

  • ζ(s)=Σ[n=1~∞] 1/ns =1+1/2s+1/3s+・・・

Re(s)>1で収束します。これをζ(s)のディリクレ級数表示ともいいます。

s>1ならば、2≦n≦Nに対して、n-1<x<nの時、

  •  1/ns<1/xs<1/(n-1)s

が成り立つので、

  • 1/ns<∫[n-1,n]1/xs dx <1/(n-1)s
  • Σ[n=2~N] 1/ns<Σ[n=2~N][n-1,n]1/xs dx <Σ[n=2~N] 1/(n-1)s
  • Σ[n=2~N] 1/ns<∫[1,N]1/xs dx <Σ[n=2~N] 1/(n-1)s
  • Σ[n=1~N] 1/ns-1<∫[1,N]1/xs dx <Σ[n=1~N-1] 1/ns

ここで

  • [1,N]1/xs dx=[x1S/(1-s)]x=1,N =1/(s‐1)[1-N1s]<1/(s‐1)

なので、

  • Σ[n=1~N] 1/ns<1+1/(s‐1) → Σ[n=1~∞] 1/nsは収束する

従って

  • 1/(s‐1) ≦ζ(s) ≦1+1/(s‐1) for s>1

より、

  • Lim[s→+1] ζ(s)=∞ かつ Lim[s→+1] (s‐1)ζ(s)=1

が得られます。

 

s=1のときは、ζ(s)は調和級数となり

  • Σ[n=1~∞] 1/n =1+1/2+1/3+・・・=log(∞)

対数発散をします。これは積分判定法から分かります。

積分判定法とは、正の単調減少関数f(x)によって、数列anを、an=f(n)と定義すると、

  • Σ[n=1~∞] anが収束 ⇔ ∫[1,∞] f(x) dxが収束

が成り立つというものです。よって

  • [1,∞] 1/x dx=log(∞) → Σ[n=1~∞] 1/n=log(∞)

だと分かります。あるいは任意の正の整数kに対して

  • Σ[n=1~2k]1/n > 1+k/2 → as k →∞

により示すことができます。

 

ゼータ関数ζ(s)のオイラ-積表示は

  • ζ(s)=Π[p] [1/(1‐1/ps)]

はディリクレ級数表示と一致するでしょうか。

s>1のとき、有限積

  • PN(s)=Π[p≦N] [1/(1‐1/ps)]

を考えます。

  • 1/(1‐1/ps)=Σ[k=0~∞] (ps)k=1+1/ps+1/p2s+1/p3s+・・・

を代入して、PN(s)を展開すると、素因数分解の一意性より

  • Σ[n=1~N] 1/ns < PN(s)=Σ[nの各素因数≦N] 1/ns <Σ[n=1~∞] 1/ns=ζ(s)

が成り立つので、

  • Π[p] [1/(1‐1/ps)]=Lim[N→∞] PN(s)=ζ(s)

ゼータ関数ζ(s)はオイラ-積表示可能であることが示されました。

 

ゼータ関数ζ(s)は、s>0(s≠1)に拡張することができます。

  • ζ(s)=L(s)/(1-21s) 、L(s)=Σ[n=1~∞](-1)(n1)/ns

右辺はs>0(s≠1)で収束します。実際部分和LN(s)=Σ[n=1~N](-1)(n1)/nsを考えると、

  • 0<1-1/2s=L2<L4<・・・<L2N<L2N+2<L2N+1<L2N-1<・・・<L3<L1=1

偶数番目の部分和L2nは上に有界で単調増加、奇数番目の部分和L2n-1は下に有界で単調減少なので、それぞれ収束し、s>0のとき

  • L2N-L2N-1=-1/(2N)s → 0  as  N →∞

だから、

  • Lim[N→∞] L2N=Lim[N→∞]L2N-1=L(s)

となります。

  • ζ(s)‐L(s)=2Σ[n=1~∞]1/(2n)s=2(1s)・Σ[n=1~∞]1/ns=2(1s) ζ(s)

よって、

  • ζ(s)=L(s)/(1-21s) for s>0(s≠1)

が示されました。s>0のときは、ζ(s)はL(s)/(1-21s)だと再定義します。

0<s<1のとき、L(s)>0で(1-21s)<0なので、ζ(s)<0であり、

  • Lim[s→1-δ] ζ(s)=-∞

となります。正の関数を解析接続すると負の関数になるのは驚きです。

実はガンマ関数を用いると、s<0の領域にもζ(s)を拡張することができます。

結果だけ書くと、

  • ζ(s)=2sπs1・sin(πs/2)・Γ(1-s)・ζ(1-s)  s<0(s≠1)

右辺は1-s>1で定義されるので、左辺はs<0で定義できます。

  • sin(πs/2)=0 for s=-2、-4、-6、・・・

なので、

  • ζ(-2k)=0 (kは正の自然数)

となります。これらの負の零点をゼータ関数の自明な零点といいます。

下図にゼータ関数の外形を示します。N=10000までの和で計算表示しました。本来、赤線と青線はs=0でy=-1/2で接続します。s<0の部分は、振動しており、負の偶数は零点になっています。

 

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