植物はどうやって水を光分解するのでしょうか?

植物は葉緑体のチラコイド膜に埋め込まれた光合成系Ⅱ(PSⅡ)の膜タンパク質の中にあるマンガン(Mn)クラスタ-で水を光分解しています。

  • 2H2O + hv → O2 + 4H+ +4e

これによって、チラコイド内腔のH+濃度を高め、H+がATP合成酵素を通過し、ストロマ側でATPが生産されるのでした。光化学系Ⅱの構造は2011年に神谷と沈らのグループによって、0.2nmの精度で解明されました。

Mnクラスタは、4個のMn原子と1個のCa原子、5個のO原子からなる歪んだ椅子のような形状をしています。P680が酸化されるたびにMnクラスタで発生した電子が受け渡されます。

この反応は、Kokサイクル(1970年)と呼ばれ、4段階で進み(S0→S1→S2→S3→S4)、最終的に遷移状態のS4を経てS0状態に戻る際に、水が酸化されて一挙に酸素分子を発生します。S4状態の解明はまだされていないようです。下図にKokサイクルの一つのモデルを示します。椅子の背もたれの肩にある第4番目のMn原子には2個のH2O分子が結合しています。光のエネルギで、そのH2O分子が酸化され、水素と電子が奪われます。

高等植物や藻類やシアノバクテリアは光化学系IIを使った光合成を行うので、Mnが必須であることが分かります。

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