生活習慣病は腎機能を低下させる

40歳代になると年齢とともに、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常などの生活習慣病のリスクが高まります。これらは血管の病気と言われています。血管が密に集まる腎臓では、血管の劣化によって、腎臓病が引き起こされます。また加齢により腎機能は低下します。一度機能が低下すると、通常は元には戻りません。しかし慢性腎臓病には自覚症状がありません。日本には1300万人の慢性腎臓病患者がいると推定されています。

腎臓病は脳卒中や心筋梗塞を引き起こす

腎臓は、主に血液から水分、塩分、老廃物を除去し、尿を作る働きをしています。腎機能が60%以下に低下すると慢性腎臓病と診断されます。腎不全になれば、透析を受ける必要があります。腎機能が低下し、血中のリンが過剰になると、血管壁にリン酸カルシウムが沈着し、動脈硬化を引き起こします。透析患者になる前に、脳卒中や心筋梗塞で死亡する人も多くいるのです。

糸球体(glomerular)は血液をろ過する装置

腎臓には糸球体という血液をろ過する組織が集まっています。1個の腎臓の皮質に100 万個くらいあるとされています。糸球体は直径0.1~0.15mmですから、2cm角サイズの皮質に0.2mm間隔で配列すると100万個になります。しかし日本人の平均の糸球体数は70万個であり、アメリカ人の100万個、ドイツ人の140万個に較べると極めて少ないのです。

心拍出量の約20-25%の血液が腎臓を流れ、血漿成分のろ過が行われます。糸球体血管の内皮にはろ過のために無数の穴が開いています。内皮は陰性に荷電しており、血中タンパク質であるアルブミンや血球などの表面が陰性に荷電している物質を通過させません。糸球体でのろ過圧力は20mmHg程度です。

  • ろ過圧=入口血管圧60mmHg-出口血管圧25mmHg-ボウ-マン嚢圧15mmHg

一日にろ過される原尿は120~170リットルに達し、この99%が糸球体に続く尿細管で再吸収され、実際に尿になるのは1~1.5リットルです。 腎臓は大量の血液をろ過し、休みなく働いているのです。

次に健康診断で得られるクレアチニン濃度から、腎機能がどれだけ正常かを求める方法を紹介します。

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