ビタミンC合成の進化

ビタミンCは抗酸化物質として重要です。ビタミンC は多くの動物では体内で十分な量が合成できるので必須栄養素ではありませんが、ヒトを含む霊長類、モルモット、果物食性コウモリ、魚類は合成できないので、必須栄養素となっています。
古生代の石炭紀には森林の繁栄により大気中のO2濃度が上昇し、CO2濃度は減少しました。地表に照射される紫外線量はまだ多かったようです。当時水棲の魚類から陸上で生活できる両生類が進化し、栄えました。水中では紫外線は吸収されるので、魚類はビタミンCを合成できません。紫外線に起因する過酸化から体を守るため、腎臓でビタミンCを合成できる両生類が陸上では栄えました。爬虫類も腎臓でビタミンCを合成していました。引き続く恒温動物への進化に伴って、酸素消費量が増大しましたが、原始的な鳥類や哺乳類も腎臓でビタミンCを合成していました。


有袋類になると腎臓に加え肝臓で合成するようになりました。さらに進化したスズメなどの鳥類や哺乳類では、ビタミンCを肝臓で合成するようになりました。これは酸素消費量の増大に伴う過酸化物質産生から身を守るため、より多くのビタミンC合成を効率よく行うために、合成部位が腎臓よりも大きな肝臓に移行したためだと考えられています。ヒトを含めた霊長類はビタミンCを合成できないのは合成酵素遺伝子の突然変異のためです。しかしビタミンCを豊富に含む果物が十分摂取できたため生き延びることができました。

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