ユニセフのガイドラインとはどのようなものでしょうか?

ユニセフ・WHOは1989年に「母乳育児を成功させるための10ヵ条」を制定しました。ユニセフのガイドラインとはどのようなものでしょうか?

1.母乳育児の方針を全ての医療に関わっている人に、常に知らせること
2.全ての医療従事者に母乳育児をするために必要な知識と技術を教えること
3.全ての妊婦に母乳育児の良い点とその方法を良く知らせること
4.母親が分娩後30分以内に母乳を飲ませられるように援助をすること(カンガルーケア)
5.母親に授乳の指導を充分にし、もし、赤ちゃんから離れることがあっても母乳の分泌を維持する方法を教えてあげること
6.医学的な必要がないのに母乳以外のもの水分、糖水、人工乳を与えないこと(完全母乳)医学的な必要とは極度の体重減少や脱水、発熱等がある場合です
7.赤ちゃんと母親が1日中24時間、一緒にいられるように母子同室にすること。(母子同室)
8.赤ちゃんが欲しがるときは、欲しがるままの授乳をすすめること
9.母乳を飲んでいる赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを与えないこと
10.母乳育児のための支援グル−プ作って援助し、退院する母親に、このようなグル−プを紹介すること

現在、134カ国15000の病院が「赤ちゃんにやさしい病院(BFH)」に認定されています。日本国内では、ユニセフから認定審査業務を委嘱された「日本母乳の会」が、その審査を行い、ユニセフへの認定申請を行っています。2015年8月現在、日本には72施設が認定されています。

2018年には、第1条に「母乳育児に関して継続的な監視およびデータ管理のシステムを確立する」ことが追加されました。第4条は「出生直後から、途切れることのない早期母子接触をすすめ、出生後できるだけ早く母乳が飲ませられるように支援する」と改定されました。母乳を与えるのは赤ちゃんに母親の免疫を与えるためです。第4条はカンガル-ケアと呼ばれていました。

ユニセフのガイドラインは一見問題がなさそうに見えます。しかし第4条(早期母子接触)と第6条(完全母乳)と第7条(母子同室)には問題があります。
第4条の途切れることのない早期母子接触は、赤ちゃんの低体温症を招きます。第6条の完全母乳の規定を守り、出産直後の赤ちゃんに水分、糖水、人工乳を与えないと、半数の赤ちゃんは低血糖を加速させて、回復できない脳障害を生じ、成長後に発達障害を発症します。第7条の24時間の母子同質は、母親を睡眠不足にして母乳の産出を低下させ、赤ちゃんを危険にさらします。つまりユニセフは低体温による潜在的な低血糖症を見逃しているのです。

殆どの場合、母乳はすぐには出ないので赤ちゃんには飢餓が生じています。なかには低血糖症や高インスリン血症の赤ちゃんもいます。しかしユニセフは、赤ちゃんの脳のATP源には肝臓から生じるグルコ-ス、脂肪分解から生じるケトン体や乳酸があると考えています。つまり赤ちゃんは栄養を蓄えた状態で産まれてくるため、母乳以外の栄養は必要ないというのです。しかし数日後の新生児はケトン体を生成する力がありますが、出産直後の新生児にはケトン体を生成する力はなく、グルコ-スだけが赤ちゃんのATP源なのです。

NICUでは周産期管理を行います。NICUというのは新生児集中治療管理室(Neonatal Intensive Care Unit)の略です。周産期とは妊娠22週から生後満7日未満までの期間を指し、周産期医療とはこの期間の母体、胎児、新生児を総合的に連続的に取り扱う医療です。NICUでは身体機能の未熟な低出生体重児や、仮死・先天性の病気などで集中治療を必要とする新生児を対象に、高度な専門医療を24時間体制で提供しています。正常体重の新生児でも周産期管理を行えば、発達障害なども防止できると考えられます。

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