[12]素数定理の証明手順のまとめ
[0]関数の定義 P;素数の集合
・リーマンのゼ-タ-関数:ζ(s)=Σ[n=1~∞] 1/ns、Re(s)>1
(nに関する無限級数)
・ファイ関数:Φ(s)=Σ[p∊P] log(p)/ps、Re(s)>1
(すべての素数に関する和をとる)
・チェビシェフのシータ関数:θ(x)=Σ[p≦x] log(p)
(X以下の素数pに関する和をとる)
・素数の個数関数:π(x)=Σ[p≦x]1
[Ⅰ]命題1 Re(s)>1、ζ(s)=Π[p∊P] [1/(1-1/ps)] オイラ-積表示の存在
(1)Re(s)>1でζ(s)のディリクレ級数表示は収束する。
(2)ζ(s)のディリクレ級数表示はオイラ-積表示に一致する。
(3)Re(s)>1でζ(s)のオイラ-積表示は収束する。
(4)ζ(s)は、s>0(s≠1)に拡張することができる。
[Ⅱ] 命題2 ζ(s)-1/(s-1)はRe(s)>0で正則である。
(1)∫[1,∞]1/xs dx=1/(s‐1) for s>1
(2)s∫[n,x] 1/ts+1 dt=1/ns-1/xs
(3)|ts+1|=tRe(s)+1
(4)ζ(s)-1/(s-1)≦|s|ζ( Re(s)+1) for s>1
[Ⅲ] 命題3 Φ(s)-1/(s-1)はRe(s)≧1で正則である。
(1)ζ’(s)/ζ(s) +1/(s-1) はRe(s)≧1で正則である。
(2)Φ(s)‐1/(s‐1)=‐[ζ′(s)/ζ(s)+1/(s‐1)]-Σ[p] log(p)/ps(ps‐1) を示す。
(3)右辺2項目Σ[p] log(p)/ps(ps‐1)はRe(s)>1/2で正則である。
(4)Re(s)=1でζ(s)=0なる零点が存在しない。
[Ⅳ] 命題4 θ(x)=O(x) i.e. ∃k>0 |θ(x)|≦kx
(1)2nlog2≧θ(2n)-θ(n)
(2)2m+1・log2>θ(2m)
(3) θ(x) ≦4log2・x
[Ⅴ] 命題5 ∫[1,∞] [θ(x)-x]/x2 dxは収束する。
・[Ⅲ] 、[Ⅳ]、[定理A]を用いて証明する。
(1)Φ(s)=s∫[1,∞] θ(x)/xs+1 dx、Re(s)>1
(2)f(t)=θ(et)e-t-1 (t≧0)は有界、g(z)=∫[0,∞] f(t)exp[-zt] dtが存在する
(3)g(z)=Φ(z+1)/(z+1)-1/z Re(z)>0
(4)g(z)はRe(z)≧0で正則
(5)g(0)=∫[0,∞] f(t) dt=∫[1,∞] [θ(x)-x]/x2 dx が収束する。
[Ⅵ] 命題6 θ(x)~x i.e. lim[x→∞] θ(x)/x=1
・任意のε>0、∃x>0 1-ε<θ(x)/x<1+εを示す。
・背理法を用いて矛盾を示す。任意の正数xに対して、∃ε>0
(1)1+ε≦θ(x)/x は矛盾を生じるので、θ(x)/x<1+ε by [Ⅴ]
(2)θ(x)/x≦1-ε は矛盾を生じるので、1-ε<θ(x)/x by [Ⅴ]
[Ⅶ] 素数定理 Lim [x→∞] π(x) logx/x=1
(1)1←θ(x)/x≦π(x)log(x)/x by [Ⅵ]
(2)π(x)log(x)/x≦1/(1-ε)・θ(x)/x+log(x)/xε→1/(1-ε) →1
[定理A] Newmanの解析定理
t≧0で有界かつ可積分な関数f(t)に対して、
g(z)=∫[0,∞] f(t)exp[-zt] dt Re(z)>0
がRe(z)≧0で正則であれば、
g(0)=∫[0,∞] f(t) dt
が存在する。つまり正則関数
gT(z)=∫[0,T] f(t)exp[-zt] dt
に対して、
lim[T→∞]gT(0)=g(0)
が存在する。
[定理A] Newmanの解析定理の証明手順
(1)g(0)-gT(0)=1/2πi・∫C [g(z)-gT(z)]ezT(1+z2/R2)/z dz
(2)A=|g(0)-gT(0)|=|1/2πi・∫C [g(z)-gT(z)]ezT(1+z2/R2)/z dz|
≦A++A-≦A++A-1+A-2 → 2B/R(T→∞)→ 0 (R→∞)
(3)A+≦B/R、Re(z)>0
(4)A-1=|1/2πi・∫C-gT(z)ezT(1+z2/R2)/z dz|≦B/R
(5)A-2=|1/2πi・∫C-g(z)ezT(1+z2/R2)/z dz|→ 0