窒素固定菌はどれくらいの窒素を固定するのでしょうか?

生物による窒素固定量は年間5300万トンと言われています(植村誠次1977年)。その内、マメ科の根粒菌による窒素固定量は年間1400万トン、ハンノキ型根粒などの非マメ科によるものが500万トンで、全体の36%を占めています。それ以外の66%はアゾトバクタ-やシアノバクテリアなどの単独細菌によるものと考えられます。ちなみに人間が工業的に固定している窒素量は年間3000万トンです。

 化学肥料は1ha当たり60kgの窒素分を投入します。マメ科の植物は68kg/haの窒素を固定し、アゾトバクタ-は50~280kg/haの窒素を固定するようです。アゾトバクタ-を有効利用できれば、窒素肥料は要らなくなりますね。

 高橋英一(1982年)によると、窒素固定量は、ダイズ栽培土壌50~100kg/ha、クローバ栽培土壌100~200kg/ha、サトウキビ根圏土壌~60kg/ha、水田30kg/ha、アカウキクサ栽培池60~120kg/haです。

サトウキビが作物体に貯えた窒素の50%近く、サツマイモでは葉中窒素の40%近くが植物細胞に内生するエンドファイト細菌から供給されていると考えられています(涌井2003年)。すなわち、作物は肥料だけで成長するのではなく、窒素固定菌の働きが想像以上に大きいことが分かります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。