抗凝固剤の種類と作用について

採血をされているとき、看護師が採血管を何本も使い、採血管の長さやふたの色が異なっていることに気づきます。採血管には、検査目的によって異なる種類の抗凝固剤が入っています。抗凝固剤が入っていない採血管はプレ-ン管と呼ばれ、生化学・内分泌・感染症・自己抗体・腫瘍マーカー検査などに用いられます。抗凝固剤にはヘパリン、EDTA、クエン酸、NaF解糖系阻害剤などがあります。

ヘパリンはトロンビン(Ⅱa因子)やXa因子等の活性型凝固因子の作用を抑制する抗凝固剤です。ヘパリンリチウムは生化学検査、主にNa・K・Clなどの電解質、血液pH、染色体分析、リンパ球培養やコレステロールなどの脂質を測定する検査で用いられます。

EDTAはエチレンジアミン四酢酸(ethylene diamine tetraacetic acid)という二価のイオンのキレ-ト吸着剤です。EDTAは、生化学検査を阻害するので、血球観察や血液学的検査つまり赤血球・白血球・血小板の数やヘモグロビン濃度を測定する検査で用いられます。EDTAを使うと、血液の凝固因子のひとつであるCa2+と非可逆的に結合し、血液が凝固しなくなります。
クエン酸ナトリウムは血液の凝固作用を検査するのに用いられます。クエン酸ナトリウムはCa2+と可逆的に結合します。検査時には血液とクエン酸の混合比を9:1に固定します。採血保管時は凝固系を止めた上で、後で凝固系の測定を行います。
NaFは血糖値の正確な測定に用いられます。NaFはCaを除去し、解糖系の最後のステップを担うエノラーゼを阻害し、グルコースの消費を止める作用があります

真空管採血の場合、1本目の採血管には針を刺した時に流出する組織液が混入し、凝固しやすくなります。そのため1本目には凝固しても構わない生化学に分注します。2本目以降はシリンジ採血と同じ順番になり、凝固しては困るものから順に採血します。また4〜5回の転倒混和も忘れずに行います。激しく振ると溶血してしまうので緩やかに振ります。

生化学(1本目)→凝固(2本目クエン酸)→電解質(3本目ヘパリン)→血算(4本目EDTA)→血糖(5本目NaF)→その他の抗凝固薬なしのプレーン管(6本目)の順番になります。血算とは血球算定検査の略語です。

血液検査は病気の有無の診断だけでなく、疾病の予防や栄養状態の改善にも役立てることができます。血液検査の結果を理解できるようになることは重要になってくると思います。

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