ニトロゲナ-ゼの反応中心はどのようなものでしょうか?

ニトロゲナ-ゼの反応中心は、[4Fe-4S]クラスタ、PクラスタとFeMo-coから成ります。Mo型ニトロゲナーゼは、容易に分離する2つのコンポーネントFe タンパク質(NifH二量体)とMoFe タンパク質(NifD-NifKヘテロ4量体)から構成されています。Nifは窒素固定Nitrogen fixationの省略記号です。NifHというのは窒素固定に関わるFeタンパク質をコ-ドしている遺伝子Hの名前です。Fe タンパク質は、ATPを加水分解してエネルギを得て、窒素の還元に必要とされる電子を送り出します。MoFe タンパク質は、Fe タンパク質から送られてきた電子を使って実際に窒素分子の還元を行います。

Fe タンパク質にある[4Fe-4S]クラスタは4つの鉄と4つの硫黄がキュバン(cubane)状(=立方体状)に集合したFe-Sクラスタです。MoFe タンパク質は、[8Fe-7S]構造のPクラスタとFeMo-coと呼ばれる[Mo-7Fe-9S-C-ホモクエン酸]の有機金属クラスタを含み、NifDとNifKの2つのサブユニットによるα2β2というヘテロ4量体構造をしています。[4Fe-4S]クラスタから送られてきた電子は、Pクラスタを経由してFeMo-co(フェモコ)に伝達され、FeMo-co上に結合した窒素分子を還元します。PクラスタからFeMo-coに電子を伝達すると、

  • P cluster(還元型)+FeMo-co(酸化型)→ P cluster(酸化型)+FeMo-co(還元型)

となり、還元型のFeMo-coが得られます。さらに

  • FeMo-co(還元型)+ N2 → FeMo-co(酸化型)+ N2H2

となり、改めて生成されたFeMo-co(還元型)とN2H2が反応し

  • FeMo-co(還元型)+ N2H2 → FeMo-co(酸化型)+ N2H4

さらに改めて生成されたFeMo-co(還元型)とN2H4が反応し

  • FeMo-co(還元型)+ N2H4 → FeMo-co(酸化型)+ 2NH3

によってアンモニアが生成されます。つまり還元型FeMo-coの力を3回使って、窒素からアンモニアが生成されます。

但しこれらの金属クラスタはすべて酸素によって速やかに破壊されてしまいます。また、ニトロゲナーゼの3つの構造遺伝子(NifH、NifD、NifK)に加え、FeMo-coの生合成には8つもの遺伝子が必要です。

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