サメの尿素はどこで合成されているのでしょうか?

尿素はサメの肝臓で合成されます。肝臓では尿素回路によりアンモニアから尿素を合成して補給します。尿素回路の律速酵素はカルバミルリン酸合成酵素です。尿素濃度が上昇すると、酵素活性が低下して、尿素の合成が止まります。サメの死後には尿素が分解されアンモニアになるので、臭います。しかし防腐効果があるので、内陸ではサメの肉が食されていました。サメの肝臓には肝油があり、肝油の浮力で、サメは遊泳しています。

鰓(えら)には、酸素を取り入れるために、大量の血液が流れています。海水と血液の間には僅かな細胞層で隔離されているため、サメは尿素を失いやすいのです。しかしサメの鰓の細胞膜はコレステロール含量が高いので、尿素の拡散透過性が小さくなっています。

尿素はタンパク質の変性剤として働くので、このままでは酵素活性が失われます。サメは、尿素とトリメチル・アミン・オキシド(TMAO)を2:1の割合に保つことで細胞内の酵素活性を正常に維持しています。サメの代謝系は尿素を前提として働いているので、淡水域のサメでもいくらか尿素を保持しています。

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