どうして4つのアミノ酸を基本的だと考えるのでしょうか?

[GADV]-アミノ酸は、いずれも原始地球上で容易に合成される簡単な構造を持ち、炭素隕石にも多く含まれています。この4つのアミノ酸はタンパク質の様々な二次構造を決める機能を有しています。グリシンはターン/コイル形成能の高いアミノ酸、アラニンはα‐へリックス形成能の高いアミノ酸、アスパラギン酸は化学反応を進めるカルボキシル基を持つ親水性アミノ酸、バリンはβ‐シート形成能の高い疎水性アミノ酸、という優れた性質があります。また4種のアミノ酸をランダムにつないでも、その表面に様々な触媒活性を持ち得る水溶性で球状のタンパク質を高い確率で形成できるからです。

その後、GNS原始遺伝暗号が現れたと考えています。コドンの最初の塩基は必ずグアニンGです。最後のSはGかCのいずれかを表しています。つまりGAGに対応するグルタミン酸が加わり、5種類のアミノ酸から、タンパク質が形成されたと考えられます。グルタミン酸が加わることで、得られるタンパク質の機能が高められたために、GNS原始遺伝暗号が定着したと考えられます。

次にコドンの最初の塩基にシトシンCが追加され、10種類のアミノ酸を生成できるSNS-原始遺伝暗号が誕生しました。ロイシンやプロリンなどの脂肪性アミノ酸の他に、中性アミノ基を側鎖にもつグルタミン(CAG)や、荷電性アミノ基を側鎖にもつヒスチジン(CAC)やアルギニン(CGC)が追加されました。

コンピュータシミュレ-ションで、SNS だけの繰り返し配列でもタンパク質の 6つの構造形成条件、(1)疎水性・親水性度、(2)α-へリックス形成能、(3)β-シート形成能、(4)ターン・コイル形成能、および、(5)酸性アミノ酸含量と(6)塩基性アミノ酸含量、を満足できることが確かめられています。現在の地球上に棲息しているGC含量の高い微生物はSNS遺伝暗号によってコードされる10種のアミノ酸を75%ほども使っています。太古の生物は、わずか10種のアミノ酸で極めて高い能力を発揮していたのではないかと考えられます。

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