物質Aの純粋な液体の自由エネルギをGℓ゜、物質Aが溶けた理想溶液の自由エネルギをGℓとします。溶液中の成分Aのモル分率をxAとすると、成分Aの溶解に伴う自由エネルギの変化は
- Gℓ-Gℓ⁰=RT・lnxA
と表せます。ここで気体定数R=8.314[J/mol・K]、Tは絶対温度です。溶液の自由エネルギを考えるときには、溶液の濃度が効いてきます。
純粋液体Aと平衡状態にある気相の蒸気圧をPA⁰、その自由エネルギをGg⁰とすると、温度変化はないので、自由エネルギの変化はエントロピ項の上昇分となり、
- Gg⁰-Gℓ⁰=-RT・ln PA⁰
が成り立ちます(導出の詳細は最後に記載)。成分Aが溶けた理想溶液と平衡状態にある気相中の成分Aの蒸気圧をPAとすると、
- Gg⁰-Gℓ=-RT・ln PA
が成り立ちます。ラウ-ルの法則より、溶液の成分Aの蒸気圧はそのモル分率xAに比例するので、
- PA=xA・PA⁰
が成り立ちます。上の2つの式の差をとると、Gg⁰が消去できて、
- Gℓ-Gℓ⁰=RT・ln PA-RT・ln PA⁰=RT・lnxA
の関係式が得られます。これが物質Aの溶解に伴う自由エネルギの変化です。 一般に、純粋な成分の自由エネルギG⁰に対して、
- G=G⁰+RT・lnx (0<x<1)
と書けます。第二項は負なので、溶解により成分の自由エネルギは減少します。
例えばx=0.2、310Kの場合、
- ΔG=8.314×310×ln0.2=-8.314×310×1.6094=-4.15[kJ/mol]
減少します。
ところで自由エネルギGは、
- G=H—TS=U+PV—TS
- dG=(TdS-PdV)+VdP+PdV-TdS-SdT=VdP-SdT
であるから、
- V=(∂G/∂P)T、S=- (∂G/∂T)P
(∂S/∂P)T=-(∂V/∂T)P=-R/P when V=RT/P
上式をPで積分すると
- TΔS=T(S2-S1)=-RT・ln(P2/P1)
が得られます。