ビタミンEの抗酸化作用はどのようにして生じるのでしょうか?

ビタミンEの抗酸化作用は脂質ラジカルを捕捉して生じます。まずは脂質の酸化機構を復習しましょう。ヒドロキシ・ラジカルOH・は脂質LHからH・を引き抜き、

  •  LH + OH・ → L・ + H2O (連鎖開始反応)

脂質ラジカルL・を生じさせます。L・はO2と反応し、過酸化脂質ラジカルLO2・を生じさせ、LO2・は脂質LHと反応し、L・とLOOHを生じさせます。

  •  L・ + O2 → LO2・ (連鎖反応1)
  •  LH → LOOH + L・ (連鎖反応2)

その結果、連鎖的に脂質酸化が進行するのでした。

ビタミンEは、脂質ラジカルL・と反応し

  •  L・ + ビタミンE → LH + ビタミンE・

となるので、ビタミン Eは脂質ラジカルの発生を抑制します。つまりビタミンEは連鎖開始反応を抑制するラジカル捕捉型抗酸化物です。また生じたビタミンE・は

  •  LO2・ + ビタミンE・ → ビタミンE-OOL 複合体

となるので、過酸化脂質ラジカルLO2・を捕捉することで連鎖的な酸化反応も抑制します。但し過酸化脂質LOOHを生じさせる反応

  •  LO2・ + ビタミンE → LOOH + ビタミンE・

もあります。生体内ではビタミンE・はビタミンCによって還元され、元のビタミンEに戻ります。

生体内において、脂質は細胞膜やミトコンドリアの膜にあります。膜の脂質が活性酸素OH・に攻撃された場合、脂質ラジカルL・が生じますが、ビタミンEがL・をLHに戻します。生じたビタミンE*はビタミンCによって還元され、生じたデヒドロ・ビタミンCはグルタチオンSHによって還元され、生じたGSSHは、エネルギ通貨であるNADPHによってGSHに戻されます。結局、総反応式は

  • LH + OH・ +NADPH → LH + H2O + NADP+

となります。

ビタミンEは8種類あるのですが、体の中では、肝臓で、α-トコフェロールだけが優先的に脂肪やコレステロールを運ぶアポタンパク質に結合して他の細胞に運ばれます。他のビタミンEは、細胞内で解毒酵素とβ酸化によって水に溶けやすくされ、尿から体外へ排出されます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。