持続的な農業を実現するにはどうしたらいいのでしょうか?

持続的な農業

自然界の生物は、捕食者(動物)、生産者(植物)、分解者(菌類)の三者から成ります。菌類は主に土壌に生息し、全ての生物の遺体を食べるために分解し、土壌に養分を与えています。植物は、光合成で糖を作り、根から菌類が生成した養分(NPKなど)を吸い上げて、タンパク質を作ります。植物には筋肉はありませんが、様々な化学物質を細胞内で合成するための酵素(タンパク質)が必要なのです。自然界の持続的活動は、三者の生物がバランスし、物質が循環することで成り立っています。農業を持続的に実施するためには、自然界のバランスや循環を維持しなければなりません。

慣行農法

植物を土に植えて、化学肥料と水をやれば、植物は成長します。しかし化学肥料は石油や鉱物資源により生産されるので持続的ではありません。また土壌には養分が残留しているので、化学肥料を施肥してよい栄養バランスの土壌を実現することは容易ではありません。過剰に施肥すると害虫が発生します。化学肥料だけでは、連作障害が発生しやすいため、様々な除草剤や農薬を使用することになります。化学肥料を用いた慣行農法では健康な土壌ができず、長期的には土壌の劣化や流出を引き起こします。

農業は土作りだと言われます。なぜなら健康な土壌に、健康な作物が育つからです。土壌は、鉱物(粘土と微砂と砂の混合物)と有機物(生物の遺体の分解物)と土壌生物(細菌、カビ、土壌動物)から成ります。健康な土壌には3つの条件が必要だと言われています。

<健康な土壌の3条件>

1.物理的に団粒構造があり、通気性(水はけ)と保湿性が保たれている。

2.化学的に豊富なNPKやミネラルのバランスが取れ、弱酸性である。

3.生物的に細菌やカビや土壌生物の多様性が保たれ、病害が抑制されている。

土壌の団粒構造を実現するには腐植、すなわち糸状菌が放出するグロマリンが必要です。化学肥料では土壌微生物は育たないので、土壌の団粒構造ができません。そうすると乾燥に弱く、流出し易い土壌になってしまいます。土壌が固くなれば、作物の根はりが悪くなり、養分を吸収できる範囲や吸収率が低下して、作物の品質や収量が低下してしまいます。

有機農業

畑から作物を収穫すると、その分養分が減ってしまいます。持続的に収穫するためには、堆肥を施肥して、養分を補給する必要があります。これがいわゆる有機農業です。堆肥には、多くの炭素と少量の窒素やリンや硫黄などの成分が含まれています。堆肥は土壌生物のエサになります。堆肥を用いた方が土壌生物の多様性が保たれるので、病害を抑制しやすいのです。堆肥は有機態窒素を含むので、日照の少ない冬作物用の肥料として優れています。通常、堆肥を施肥するときには、土壌と混ぜて耕起します。耕起を避けて、最小限に施肥する人もいます。

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