PL先生のサイエンス倶楽部「地球の空気はどうやってできたの?」

9月29日に甲府のコミュニティ・カフェ・へちまで開催された子ども向けのサイエンス・セミナ-に参加しました。タイトルは、第11回PL先生のサイエンス倶楽部「地球の空気はどうやってできたの?」です。参加費は1ドリンク付きで、大人800円、子供500円です。講師の中村安志さんバイオ系企業研究所で勤務していた方で、今は甲府で学習塾を営んでいます。ご専攻は宇宙生物学です。参加者は、子ども7人、大人12人でした。

中村さんは留学先のカルフォルニアで日本人向けの学習塾をご夫婦でやっていた経歴があります。月に1回、先端科学について、子どもたちにセミナ-を行っています。「科学との出会い」を通じて、「夢」や「あこがれ」をもって、「自分の未来」を考え、実現する教育を目指しているそうです。

セミナ-ではパワ-ポイントを使って、2時間のプレゼンテーションをしました。声が大きく、一つの紙に一つの文章のシンプルな発表をしていました。子どもたちに問いかけたり、知識の合間にエピソ-ドを入れて、飽きさせない工夫をしていたので、子どもたちは長い時間よく話を聞いていました。大人からの質問にも真摯に答えていました。

学校では習わないサイエンスの面白い話を上手に伝えていました。地球史について講演ができる科学者はとても少ないです。ましてそれを子どもたちに話して聞かせる人が、日本にいるとは驚きでした。

内容は、地球の酸素はシアノバクテリアがつくったこと、その酸素は大規模な縞状鉄鉱床を残したこと、酸素をエネルギとする細菌が細胞内共生してミトコンドリアになったこと、酸素呼吸は発酵の20倍のエネルギ効率があったこと、酸素は有機物を酸化してしまう毒であること、21億年前の全球凍結後に酸素濃度が増大し、真核生物が誕生したこと。真核生物はミトコンドリアが扱う酸素からDNAを守る核膜をもっていたこと、7億年前の全球凍結後に真核生物は多細胞生物に進化したこと、などを分かりやすく説明しました。来月はカンブリア紀の生物進化に眼が果たした役割についてお話なさるそうです。

実は21億年前の全球凍結後に酸素濃度が20%の状態が1憶年間続き、マンガン鉱床が形成されたという話は、3年前に東大の田近研が発表した最新の内容です。彼らはアフリカの全球凍結時の地層層序を実現する酸素濃度変化をシミュレ-ションで再現し、酸素濃度の急激な上昇と大酸化イベントがあった可能性を示しました。急激な酸素濃度増大の原因は、全球凍結後の火山活動によりCO2濃度が上昇し、温室効果による超温暖化により、風化が促進され、大量のリンが山から流され、海中のリン酸塩濃度が上昇し、それを食べるシアノバクテリアが異常増殖し、光合成により大量の酸素が放出されたことにあります。

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