活性酸素は主にミトコンドリア中の呼吸鎖の電子伝達系の複合体Ⅲにおける反応で生成されます。ユビキノン(Q)がユビセミキノン(・Q-)を経由してユビキノ-ル(QH2)になる過程で、1%程度のユビセミキノン(・Q-)は酸素と反応して、スーパーオキサイドアニオン(O2-)を生成します。
代表的な活性酸素にはヒドロキシルラジカル(・OH)、スーパーオキシドアニオン(・O2—)、過酸化水素および一重項酸素分子1O2などがあります。活性酸素は細胞を分解し、癌や生活習慣病、老化等、さまざまな病気の原因となります。細胞内にはカタラーゼやスーパーオキシドディスムターゼ、ペルオキシダーゼなど、活性酸素を無害化する抗酸化酵素があり、活性酸素から生体を守っています。白血球やマクロファージは活性酸素を利用して細菌などを分解しています。
次表に抗酸化物質が消去できる活性酸素の種類を示します。ビタミンEは、フリーラジカルを消失させることにより自らがビタミンEラジカルとなり、フリーラジカルによる脂質の連鎖的酸化を阻止します。発生したビタミンEラジカルは、ビタミンCなどの抗酸化物質によりビタミンEに再生されます。
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グルタチオン(Glutathione, GSH)は、グルタミン酸、システイン(活性な硫黄を含む)、グリシンの3つのアミノ酸から成るトリペプチドです。ただし、グルタミン酸とシステインの結合は、通常のペプチド結合とは異なり、γ-グルタミル結合になっています。このためグルタチオンは、ほとんどのプロテアーゼに対して分解されません。グルタチオンは、細胞内で発生した活性酸素種や、過酸化物と反応してこれを還元し、消去します。酸化したグルタチオンは、グルタチオン還元酵素とNADPHの還元力を利用して、元のグルタチオンに戻ります。またグルタチオンは毒物を、システイン残基のチオール基に結合させて細胞外に排出する解毒機能があります。