[8][Ⅴ] ∫[1,∞] [θ(x)-x]/x2 dxは収束する。

[Ⅴ] ∫[1,∞] [θ(x)-x]/x2 dxは収束する。

上記の積分の収束を命題[Ⅲ] 、[Ⅳ]、[定理A]を用いて5段階で証明します。

(1) Φ(s)=s∫[1,∞] θ(x)/xs+1 dx、Re(s)>1 が成り立つことを示します。

s∫[1,∞] θ(x)/xs+1 dx=s∫[1,∞]Σ[p≦x] log(p)/xs+1 dx

=s∫[1,2]0 dx+s∫[2,3] log2/xs+1dx+s∫[3,5](log2+log3)/xs+1 dx+・・・

=-[log2/x]x=2,3-[(log2+log3)/x]x=3,5-[(log2+log3+log5)/x]x=5,7+・・・

=-(log2/3s-log2/2s)-[ (log2+log3)/5s-(log2+log3)/3s) ]

 -[ (log2+log3+log5)/7s-(log2+log3+log5)/5s) ]

 -[ (log2+log3+log5+log7)/11s-(log2+log3+log5+log7)/7s) ]-・・・

=log2/2s+log3/3s+log5/5s+log7/7s+・・・

=Σ[p]logp/ps =Φ(s)

(2)f(t)=θ(et)e-t-1 (t≧0)は有界かつ可積分である、ことを示します。

 (Ⅲ)でx=etとして、あるK>0が存在して、|θ(et)|≦Ket だから

   |f(t)|=|θ(et)e-t-1|≦|θ(et)|e-t+1=Ket e-t+1=K+1 

となり、f(t)は有界な関数である。

(3)g(z)=Φ(z+1)/(z+1)-1/z  Re(z)>0 を示します。

x=etとおいて置換積分を実施する。dx=xdt、t:0→∞、x:1→∞、

e-zt=(et)-z=x-zに注意すると、

 g(z)=∫[0,∞] (θ(et)e-t-1)exp[-zt] dt

  =∫[1,∞] (θ(x)x-1) x-z dx/x-[e-zt/-z]t=0,∞

  =∫[1,∞] (θ(x)/xz+2)dx-1/z

  =Φ(z+1)/(z+1)-1/z

が示されました。

(4)g(z)はRe(z)≧0で正則である、ことを示します。

(Ⅲ)より、Φ(s)-1/(s-1)はRe(s)≧1で正則なので、s=z+1として

  Re(s)=Re(z)+1≧1 → Re(z)≧0 

Φ(z+1)-1/zはRe(z)≧0で正則なので、正則関数h(x)を用いて、

  Φ(z+1)-1/z=h(x) 

と表せます。

 g(z)=Φ(z+1)/(z+1)-1/z

   =(h(x)+1/z)/(z+1)-1/z=

   =h(x)/(z+1)+1/z(z+1)-1/z

   =h(x)/(z+1)+[1-(z+1)]/z(z+1)

   =[h(x)-1]/(z+1)

 g(z)は、z=-1に極をもちますが、Re(z)≧0で正則であることが示されました。

(5)g(0)=∫[0,∞] f(t) dt=∫[1,∞] [θ(x)-x]/x2 dx が収束する、ことを示します。

 (2)より関数f(t)=θ(et)e-t-1はt≧0で有界かつ可積分であり、

 (4)よりg(z)=∫[0,∞] f(t)exp[-zt] dt がRe(z)≧0で正則である

従ってNewmanの解析定理により

  g(0)=∫[0,∞] f(t) dt=∫[0,∞] (θ(et)e-t-1) dt

が存在します。(3)と同様にx=etとおいて置換積分を実施すると、

  g(0)=∫[1,∞] (θ(x)x-1-1) dx/x=∫[1,∞] [θ(x)-x]/x2 dx

が収束することが示されました。

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