物理計算 Vs 人工知能

これまでは気象衛星と地上センサ網によるデ-タ収集と、物理モデルに基づく大規模計算により気象予測が行われてきた。しかしながら観測データ密度は限られており、気象や災害は複雑な因果関係を有するために、物理モデル計算に基づいて高精度の予測をすることは高コストかつ容易ではない。一方、人工知能は、物理モデルなしに過去の複雑な現象のデータからそのパタ-ンを学習することで、低コストかつ簡単に将来パタ-ンを予測できる。

両者が競い合って、将来にはより高精度な将来予測と原因理解を可能にするかもしれないが、一方では低コストの人工知能が高コストの物理計算を駆逐する可能性も考えられる。そうなると気候変動に対する根本原因の解明が遅れる可能性もあるのではないか、などと悔し紛れに思ってしまう。しかし人間の直観は、経験によるパタ-ン認識なので、人工知能的なのだ。とすれば人工知能が物理計算に勝つのは、人間として歓迎しなければならないのかもしれない。

AI技術による損害予測が進歩すると、損害保険会社の株価が上がるのか。しかしこれもAIが予測してくれるのだろうか。人間の寿命も含めて、将来が予測可能な社会って、一体どんな社会なのだろうか。

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