コラーゲンとはどのようなものでしょうか?

コラーゲンは、皮膚や腱などの結合組織や骨や軟骨組織に存在して臓器・組織の構造と機能の保持に重要な役割を果たす不溶性タンパク質です。人体の構成成分は、水分60%、タンパク質20%、脂肪15%、無機質5%です。そのタンパク質の30%はコラ-ゲンです。コラ-ゲンは皮膚の40%、骨の15%、血管の8%を占めている重要なタンパク質です。65kgの人には4kgのコラ-ゲンがあります。5~10g/日程度摂取することが推奨されています。

コラーゲンは、細胞を支える足場の役割と、細胞間を埋め、色々な成分を行き来させる潤滑剤の役割も担っています。老化と共に細胞は劣化し、細胞を取り巻くコラーゲンも減少・劣化していきます。しかし、最近の研究から、コラーゲンを分解したペプチドが細胞に刺激を与え、細胞から作り出されるコラーゲンを増やすことがわかってきています。

コラーゲンが地球で初めて誕生したのは、原生代後期の全球凍結後(6億〜8億年前)と考えられています。この時大気中の酸素濃度が増大したので、多細胞生物が出現します。コラ-ゲンは細胞を接着させるので多細胞動物の出現に大きな役割を果たしました。そのころには真核生物が出現しており、呼吸系が細胞膜から細胞内(ミトコンドリア)に移行していたので、多細胞化が可能になりました。多細胞化により、内部の細胞の環境が安定し、細胞の機能分化が起こり、高機能な生物が出現しました。植物は細胞の接着にセルロ-スを用いました。コラ-ゲンはセルロ-スに比べ、しなやかで弾力性があります。コラーゲンは食肉の生産によって生ずる骨や皮といった廃物から生産できる点も優れています。

コラ-ゲンには様々な応用があります。コラーゲンの中に薬液を染み込ませておくことで、コラーゲンが生体内で分解されると同時に薬液も徐々に放出され、患部に安定して届けることができます。安全なコラーゲンは人工皮膚や人工骨などの生体材料にも利用されています。コラーゲン・ゼラチンは共に優れた形状加工性を有しており、これまでにもスポンジ状、シート状、粒子状など様々な形状に加工され使用されてきました。今後、3Dプリンタやエレクトロスピニングなどの新技術との組み合わせにより、より新しい加工体が生み出されることが期待されています。

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