生体の細胞は主にタンパク質と脂質と核酸からできています。細胞内のタンパク質は20種類のアミノ酸が1次元的に結合し、3次元的に折りたたまれた構造をしています。タンパク質は、骨格筋だけでなく、細胞内の様々な化学反応を司る酵素として活躍しています。細胞内のアミノ酸はどんな状態にあるのでしょうか?
実は細胞内のアミノ酸は、酸塩基解離状態にあります。
PHが2.4~9.8の水溶液中では、アミノ酸のアミノ基はNH3+、カルボキシル基はCOO-に解離しています。生理的条件下でのアミノ酸の状態を両性イオンや双極イオンと呼びます。
アミノ基NH2のNには孤立電子対があり、そこにH+イオンが配位するので、NH3+イオンとなります。アミノ酸のカルボキシル基COOHは、H+を放出したあとに、COO-イオンになり、共鳴安定化します。アミノ酸のNH3+側と別のアミノ酸のCOO-側は引き合うので、ペプチドを形成しやすくなっています。
ちなみに酸性溶液中では、アミノ酸のアミノ基はNH3+のままで、COO-はCOOHになります。アルカリ溶液中では、アミノ酸のアミノ基NH3+はNH2となり、カルボキシル基はCOO-のままです。ChemSketchでアミノ酸を描いてみました。
アミノ酸は脱水縮合によりペプチド結合を形成します。2個縮合したものはジペプチド、複数結合したものをポリペプチドと呼びます。ペプチドは線状につながるので途中で分岐することはありません。アミノ酸残基とは、ポリペプチドにおける各アミノ酸のことです。タンパクを構成する標準アミノ酸は高々20種類ですが。2個つながっただけでも配列の場合の数は202=400通りもあります。タンパクの多様性は非常に高いことが分かります。