[Ⅴ] ∫[1,∞] [θ(x)-x]/x2 dxは収束する。
上記の積分の収束を命題[Ⅲ] 、[Ⅳ]、[定理A]を用いて5段階で証明します。
(1) Φ(s)=s∫[1,∞] θ(x)/xs+1 dx、Re(s)>1 が成り立つことを示します。
s∫[1,∞] θ(x)/xs+1 dx=s∫[1,∞]Σ[p≦x] log(p)/xs+1 dx
=s∫[1,2]0 dx+s∫[2,3] log2/xs+1dx+s∫[3,5](log2+log3)/xs+1 dx+・・・
=-[log2/xs]x=2,3-[(log2+log3)/xs]x=3,5-[(log2+log3+log5)/xs]x=5,7+・・・
=-(log2/3s-log2/2s)-[ (log2+log3)/5s-(log2+log3)/3s) ]
-[ (log2+log3+log5)/7s-(log2+log3+log5)/5s) ]
-[ (log2+log3+log5+log7)/11s-(log2+log3+log5+log7)/7s) ]-・・・
=log2/2s+log3/3s+log5/5s+log7/7s+・・・
=Σ[p]logp/ps =Φ(s)
(2)f(t)=θ(et)e-t-1 (t≧0)は有界かつ可積分である、ことを示します。
(Ⅲ)でx=etとして、あるK>0が存在して、|θ(et)|≦Ket だから
|f(t)|=|θ(et)e-t-1|≦|θ(et)|e-t+1=Ket e-t+1=K+1
となり、f(t)は有界な関数である。
(3)g(z)=Φ(z+1)/(z+1)-1/z Re(z)>0 を示します。
x=etとおいて置換積分を実施する。dx=xdt、t:0→∞、x:1→∞、
e-zt=(et)-z=x-zに注意すると、
g(z)=∫[0,∞] (θ(et)e-t-1)exp[-zt] dt
=∫[1,∞] (θ(x)x-1) x-z dx/x-[e-zt/-z]t=0,∞
=∫[1,∞] (θ(x)/xz+2)dx-1/z
=Φ(z+1)/(z+1)-1/z
が示されました。
(4)g(z)はRe(z)≧0で正則である、ことを示します。
(Ⅲ)より、Φ(s)-1/(s-1)はRe(s)≧1で正則なので、s=z+1として
Re(s)=Re(z)+1≧1 → Re(z)≧0
Φ(z+1)-1/zはRe(z)≧0で正則なので、正則関数h(x)を用いて、
Φ(z+1)-1/z=h(x)
と表せます。
g(z)=Φ(z+1)/(z+1)-1/z
=(h(x)+1/z)/(z+1)-1/z=
=h(x)/(z+1)+1/z(z+1)-1/z
=h(x)/(z+1)+[1-(z+1)]/z(z+1)
=[h(x)-1]/(z+1)
g(z)は、z=-1に極をもちますが、Re(z)≧0で正則であることが示されました。
(5)g(0)=∫[0,∞] f(t) dt=∫[1,∞] [θ(x)-x]/x2 dx が収束する、ことを示します。
(2)より関数f(t)=θ(et)e-t-1はt≧0で有界かつ可積分であり、
(4)よりg(z)=∫[0,∞] f(t)exp[-zt] dt がRe(z)≧0で正則である
従ってNewmanの解析定理により
g(0)=∫[0,∞] f(t) dt=∫[0,∞] (θ(et)e-t-1) dt
が存在します。(3)と同様にx=etとおいて置換積分を実施すると、
g(0)=∫[1,∞] (θ(x)x-1-1) dx/x=∫[1,∞] [θ(x)-x]/x2 dx
が収束することが示されました。