よい子育ての方法

 
ご質問ありがとうございます。保育士さんはいつも大変ですね。

あなたはA先生に「A先生がB君にきつく接すること」を期待していますが、たとえA先生がB君にきつく接したとしても問題は解決しません。まずこのことを理解しましょう。そこで質問です。

・B君がA先生の前で不適切な行動をする目的は何だと思いますか?

おそらくそれはA先生の注目関心を得ることだと思います。B君はすでに不適切な行動でA先生の注目関心を得ることに成功しているのです。だからA先生がB君の不適切な行動をいくら注意しても、B君の不適切な行動はなくなりません。

・B君はなぜ適切な行動をしてくれないのでしょうか?

それはB君が勇気を挫かれているからです。つまりB君は「ぼくは適切な行動をしていては、A先生の注目関心を得ることはできない」と信じています。

・それではどうしたらいいでしょうか?

A先生に次の2つを実行するように指導しましょう。
1)A先生はB君が適切な行動をしているときにB君に注目関心を与えます。
2)A先生はB君が不適切な行動をしているときにB君の行動を無視します。

・具体的にどうしたらいいでしょうか?

(1)B君がお友達と仲良く遊んでいるとき、B君が一人で静かに遊んでいるときは適切な行動をしているときです。そういう時には「B君はお友達と上手に遊べるのね~」と声かけをします。あるいは「B君は積木あそびが大好きなのね?」と声かけをします。B君は「A先生はぼくが積み木遊びをしているのを見てくれている」と感じて安心します。

(2)B君が友達に攻撃をしたとき、ふざけて寝ないとき、ご飯をわざと吐き出したときは、不適切な行動をしているときです。そういう時にはB君の不適切な行動を無視して、適切な行動に注目します。これには少し工夫が要ります。

<1>B君が友達に攻撃をしたとき
「B君ってすごく強いのね!」といってB君の反応を見ます。B君は褒められたことで心を開きます。このとき「B君はすごく強いんだから、お友達に優しくしてあげられるでしょう?」と言います。B君が「うん」と言ったら、「じゃあ仲直りの印に、何かしたいことある?」と聞きます。人と仲良くすることは最も大切なことですから、仲良くしていたら一緒に喜びましょう。

<2>B君がふざけて寝ないとき
「B君ってすごく上手に起きているのね!」といってB君の反応を見ます。B君は褒められたことで心を開きます。このとき「じゃあね、B君。こんどは上手に寝られるかな?」と言います。B君が「うん」と言ったら、「お寝ねしたら、また遊ぼうね?」と言います。B君は「ぼくには寝る力がある」ことを学びます。

<3>B君がご飯をわざと吐き出したとき
「B君、すごく上手にごはんを散らかしたわね!」といってB君の反応を見ます。B君は褒められたことで心を開きます。このとき「じゃあね、B君。今度は上手にお掃除できるかな?」と言います。B君が「うん」と言ったら、「先生も一緒に手伝ってもいいかしら?」と言います。それで雑巾をもってきて、B君に拭いてもらいます。拭き終わったら、「ありがとうB君。B君のお陰でとってもきれいになったわ」と言って、B君の適切な行動に注目します。マイナスのことが起きても、プラスの行動を学ぶことができます。

このような子育て方法はアドラー心理学の「パセッジ」という親子関係改善プログラムで学習できます。多くの家庭や保育所ですでに導入されている実績のある子育て方法です。ご興味があれば調べてみて下さい。A先生に指導すると同時に、あなたも是非学んでみては如何でしょうか?これまでのように園児を叱っているだけでは、園児は適切な行動を学ぶことができません。