草食動物の脳はどうして大きくならないのか?

草食度物は球根(芋)や茎や葉を食べるので、グルコ-スが脳に供給されていると思うかもしれません。例えばウシなどの反芻動物は、細菌の力を利用して、前胃(ル-メン)の中で砕いた食物繊維やデンプンを酪酸やプロピオン酸に分解し、ルーメン壁から吸収することによって、エネルギの80%を得ています。酪酸はケトン体の前駆体であり、脳はケトン体をエネルギにすることができます。ケトン体とはヒドロキシ酪酸や、アセト酪酸などのことです。

ウシは、タンパク質を分解してできる尿素を唾液にまぜて、ル-メンに戻して細菌の窒素源にしています。増殖した細菌は4番目の胃で消化され、牛はエネルギとアミノ酸などの栄養を得ることができます。つまり草食動物は殆どデンプンをブドウ糖に分解していないので、草食動物の脳には危険なグルコ-スがあまり供給されていないのです。ウシも呼吸をするので、酸素を運搬する赤血球を養うために、ヒトの臍帯血の血糖値(35mg/100dL)程度のブドウ糖が必要です。しかしウシの血糖値は~50mg/100dL程度であり、ヒトの血糖値100 mg/100dLより低い値になっています。このように草食動物の脳には過剰なグルコ-スが来ないので、脳が大きくならなかったと考えられます。

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