パルスオキシメーターの測定原理

「パルスオキシメーター」は1974年に日本光電工業の青柳卓雄らによって発明された医療機器です。パルスオキシメ-タ-は手術中の酸欠死を激減させた他、酸素過多による未熟児網膜症の防止や救急現場での救命率の向上に貢献しました。1977年にミノルタカメラ社の山西昭夫らによって世界初の指先測定タイプのパルスオキシメータが商品化されました。登山者の高度順化の目安、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング診断にも利用されます。

このセンサは指先の動脈を透過する赤色光と赤外光のパルス強度比を測定します。パルスとは脈動のことです。脈動するのは動脈血管だけなので、透過光のパルス振幅が動脈血の情報を含んでいます。比率を測定するのは、皮膚組織厚や血管の太さや血球密度などHbの酸素濃度以外に透過光強度に与える影響を除去するためです。酸素と結合したHbO2は波長660nmの赤色光を殆ど透過しますが、酸素のないHbは赤色光をよく吸収します。赤外光はどちらも同程度透過します。従って赤色光の透過光強度が減少すると、HbO2が減少したことが分かります。予め血液を採取して別の方法で酸素飽和度を測定し、パルス透過光の強度比変動と対応づけて公正係数を求めておきます。測定したパルス透過光の強度比変動に公正係数をかけることで、動脈血の酸素飽和度を求めることができます。この装置の原理上、一酸化炭素中毒は検出できません。毎日体温・血圧と共に酸素濃度も計っておくといいかもしれません。発明者の青柳卓雄氏は2020年4月18日に84歳で老衰で亡くなられました。

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