インフルエンザと新型コロナウイルスはどこが異なるのでしょうか?

インフルエンザは風邪より高熱が出て、関節痛などが生じる伝染病です。日本では毎年、新型インフルエンザが流行しており、ここ5年間は増加傾向にあります。日本のインフルエンザの感染者数は年間1000万人程度で、毎年3000人程度が死亡しています。つまり致死率は0.1%以下です。感染者の70%は未成年者であり、死亡者の殆どは免疫力の低い70歳以上の老人です。

日本の病院は1000万人のインフルエンザ患者に対応できるのだから、1.5万人の新型コロナ患者を受け入れるのはたやすいことだと考え、日本政府はコロナ感染拡大を誇張して報道させているのではないかと疑っている人がいます。しかし実際はそうではありません。

インフルエンザで入院する患者数は多い年で1万人近くになります。1週間経過後は徐々に回復して退院する人もでてくるので、ピーク時の在院者数は8000人(=9500人×0.85)程度だと推測できます。日本には感染者用の病床が12500床あるので、ピーク時の2月ごろは、毎年病床の40~65%がインフルエンザの患者さんで埋まることになります。これは決して余裕のある数字ではありません。実際は、病院数を削減しているので、高齢化社会になって増加するインフルエンザ患者を受け入れることは深刻な問題なのです。しかしインフルエンザの場合、学級閉鎖はあっても、サラリーマンに在宅勤務や主婦に外出制限をかけることはありませんでした。

社会がインフルエンザを許容しているのはいくつか理由があります。例えばインフルエンザの場合、
1) 重篤化率が1%、致死率が0.1%以下と低い。
2) 感染者の殆どが若者で、1週間程度で回復する。
3) 簡易検査薬や抗ウイルス薬があり、早期対応と症状軽減ができる。
4) 多くは季節性のもので、必ず収束する。
5) 感染後に獲得した免疫が持続するので、同じものには感染しなくなる。
6) 多くの人が免疫を獲得するので、感染が広がりにくくなる。
といった理由があるからです。インフルエンザは毎年流行するタイプが異なるので、完全に適合するワクチンが製造できません。完全に適合するワクチンを所有している人は、その新型インフルエンザウイルスを製造した人でしょう。そうなると流行は自然現象でなくなります。

それでは新型コロナ肺炎(COVID-19)はどうして社会的に許容されないのでしょうか? それは
1) 重篤化率が20%、致死率が4%以下と高い。
2)感染者の多くが高齢者や疾患保持者であり、重症化しやすい。
3)簡易検査薬や抗ウイルス薬が利用できず、早期対応と症状軽減ができない。
4)季節性がなく、潜伏期間が長く、感染が収束する保証がない。
5)感染後に獲得した免疫が持続するか不明である。
6)多くの人に免疫を獲得させられないので、感染が広がりやすい。
といった理由です。免疫の持続性が保証できれば、集団免疫獲得戦略を採用し、医者と病床数を確保できれば、社会的に許容する方向に進むかもしれません。しかし日本は医者の収入を守るために、医師数を厳しく制限しています。

 現在の感染状況を見てみましょう。5月9日現在、東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイト(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)によると、東京都の陽性者は4846人で、死亡者180人、退院者2152人、入院中2514人です。入院中の内訳は、軽症・中等症者2431人、重症者83人です。東京都の病床数は2000床なので、400人余りはホテルに隔離滞在していると思われます。陽性者の致死率は3.7%です。
ダイヤモンドプリンセス号の場合、3711人の乗客乗員のうち、712人が感染し、13人が死亡しました。感染率は19.2%、陽性者の致死率は1.8%でした。これは中国起因の感染で、現在東京都で感染しているウイルスは欧州起因のものだと考えられています。欧州起因のウイルスの致死率の方が2倍高いのかもしれません。

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