植物プランクトンは光合成のために明るい表層に浮遊しなければなりません。また栄養塩の少ない表層で効率よく栄養塩を摂取するために、表面積が大きくなければなりません。しかし細胞原形質は海水より密度が高いのです。従って植物プランクトンは数十ミクロンの小さな大きさを保っています。動物プランクトンは、浮遊して小さい植物プランクトンを効率よく食べるために、小さくなっています。
植物プランクトンの生産性
植物プランクトンの寿命は6日程度です。1週間すると1回分裂し、その半数は死んで沈降するか他の動物プランクトンに捕食されます。こうした海洋生物は世代交代が非常に速く生産性が高いのが特徴です。実際、海中生物量は3Pg(炭素換算1012kg)ですが、陸上生物量300Pgの1%に過ぎません。しかし海中生物の炭素移動量は陸上生物の80%を占めています。海洋と陸上の平均的P(年間生産量)/B(生物量)比は
・ P/B(海洋)=152[g/m2/年]/10[g/m2]=15.2 [1/年]
・ P/B(陸上)=721[g/m2/年]/12300[g/m2]=0.059 [1/年]
です。大陸棚のP/B比は36となり、海洋平均値15.2の2倍以上になります。海洋は陸上より生産性が260倍(=15.2/0.059)も高いことになります。生産量の観点からすると海洋は陸上より時間が2桁以上速く流れているのです。
レッドフィールド比(Redfield、1890~1983)について
Redfield博士はアメリカ東海岸沖の深層海水中の炭素と窒素とリンの比率は
・ C:N:P=106:16:1
でほぼ一定であることを見出し、海性植物プランクトンのN/P比も深層水中のN/Pに等しいと考えました(1958)。表層のN/P比はばらつきがありますが、16より小さいです。現在500m以深の海水中の硝酸塩とリン酸塩比の平均値は、大西洋で15.0、太平洋で14.8、インド洋で14.3であると報告されています(Falkowski, 2007)。資源競争条件での化学量論モデルによれば、微細藻類の最適N/P比は、対数増殖期で8.2です(Klausmeier、2004)。近年の調査では、プランクトンの栄養含有比はプランクトンが棲息する緯度によって変わり、栄養が少ない赤道では195:28:1、栄養が豊富な極地方では78:13:1と明らかな違いが見られています(Adam Martiny、2013)。
植物プランクトンについて知りたいと思っていたので、貴重な知識を得られました。植物プランクトンの存在なしに海の生物の存在はあり得ないので、知りたいと思っていました。
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